酒井謙 医師 (さかいけん)

東邦大学医療センター大森病院

東京都大田区大森西6-11-1

  • 腎臓内科
  • 教授(人工透析室)

腎臓内科 内科

専門

包括的腎不全医療(腎炎、二次性副甲状腺機能亢進症、腹膜透析、移植腎病理)

酒井謙

大学勤務を中心に、30余年にわたって診療・研究・教育に従事。2011年から現職に就き、蛋白尿や血尿の診断から腎疾患の治療、血液・腹膜透析、腎移植までを網羅する腎臓病の生涯医療サービスを実践。蛋白尿から腎移植までの包括的医療が必要な慢性腎臓病(CKD)の診療に対して、国内唯一の内科・外科の合同による手厚い診療体制を整え、長期にわたり病気と関わることが避けられない患者に大きな安心を提供している。

診療内容

現在、腎臓病に悩む人は国内でおよそ1,300万人にのぼるとされ、このうち透析を受けている人は30万人以上。子どもから大人まで幅広い年齢層で発症が見られ、腎臓病のケアは国民の健康のために極めて重要な課題となっている。蛋白尿や血尿から始まり、急性あるいは慢性の経過をたどって末期慢性腎不全に至り、透析療法や腎移植が必要となる疾患で、透析にいたる進行を抑えることが腎臓内科の重要な役割である。
慢性腎臓病の治療は、腎炎ネフローゼは腎臓内科、透析は透析科、腎移植は泌尿器科というように、状態や進行度合いによって異なる医師や診療科が担当するのが一般的だ。これに対して同院・腎センターでは、内科と外科・小児科が共に治療を進める国内唯一の体制を採用。蛋白尿、血尿の診断から腎疾患の治療、血液・腹膜透析、腎移植まで、すべてのCKD(慢 性腎臓病)に対して、高い専門性を持つ内科医と外科医が合同で治療に当たっている。これにより、従来の縦割り治療による腎不全医療の不連続性を解消。透析が必要となった場合も、その合併症までを含めた適切な治療を、子供から大人まで、蛋白尿から移植まで網羅している。
透析に至った患者に対して、腎センター内科では腹膜透析を推進している。腹腔内にカテーテルというという管を入れて透析液を注入する方法で、一定時間貯めておくことで腹膜を通して血液中の老廃物や余剰の水分が腹腔内の透析液に移動。その後、透析液を体外に排出するというプロセスを繰り返すことで血液を浄化する。通常、1回あたりの透析液の貯留時間は6~8時間で、1日に3~4回透析液を交換する「CAPD」と日中の交換をなくして夜間就寝時に透析装置を使って透析液を交換する「APD」、両方を併用する「CCPD」があり、生活スタイルによって選択できる。浄化能力が弱いので毎日行なう必要があるものの、毎日時間をかけて老廃物や余剰な水分を取り除けることが腹膜透析の利点だ。さらに、残存する腎臓の働きが保持されやすい。通院、透析時間に縛られない生活ができる。透析による疲労感が少ない。透析中の血圧低下がない。シャントに穿刺する針の痛みがない。血液透析に比べて食事制限が緩やか(特にカリウム)といったメリットがある。ただし、腹膜透析液は高濃度のブドウ糖からできており、腹膜がブドウ糖に繰り返しさらされると腹膜が劣化して、除水能力の低下や腹水が見られたり、腹膜が腸管と癒着して腸閉塞を起こしたりすることがある。このため、腹膜透析の施行期間は7年以内が望ましいとされている。一方、血液透析ではシャントのPTA(経皮的血管形成術)が東邦大学でも積極的に取り入れられている。腎移植に関しては、東邦大学では年間30例以上の患者が移植を受けて社会復帰している。この新しい分野を内科的に支えるのも腎センターの大きな役割で、社会復帰後の進学、就職、結婚など、人生の節目を共に祝えることがスタッフの喜びとなっている。
こうした透析法は確立されているものの、最も大切なのは透析への進行をできる限り遅らせること。酒井医師と腎センターのスタッフは独自の内科外科のチーム体制を活かして、一人ひとりの患者に安心できる高品質の生涯医療サービスを提供している。

医師プロフィール

1986年3月 東邦大学医学部 卒業
1986年6月 東邦大学医学部付属大森病院にて研修
1987年6月 川崎市立井田病院にて研修
1989年6月 東邦大学医学部研究生
1989年7月 東邦大学医学部助手(腎臓学研究室)
1993年12月 クリーブランドクリニック腎高血圧部門臨床研究員
2004年4月 東邦大学医療センター大森病院腎センター講師
2007年5月 済生会横浜市南部病院内科担当部長
2008年11月 東邦大学医療センター大森病院腎センター准教授
2011年11月 東邦大学医療センター大森病院腎センター教授