尿潜血〔にょうせんけつ〕 家庭の医学

■腎や尿管、膀胱などの異常
 尿中に赤血球が出ているかどうかを調べる検査です。
 通常は尿中には赤血球は出現しませんが、糸球体腎炎などの腎疾患、尿管結石、膀胱(ぼうこう)炎や膀胱腫瘍があると、血尿といわれる状態が起こります。肉眼で見ても鮮紅色の尿が出ていれば判定は容易ですが、見ただけではわからない微量の赤血球の存在は尿潜血反応で確認します。
 赤血球のヘモグロビンが存在すると、反応は陽性となりますが、筋肉が損傷したときに出るミオグロビンでも尿潜血反応は陽性を示します。また、試験紙での検査原理から、大量のビタミンCの存在下では陰性となることに注意しなければなりません。
 尿潜血が陽性の場合には、尿の固形成分(尿沈渣〈ちんさ〉)で赤血球の存在を確認したり、ほかの腎・尿路系の病的所見を確認する必要があります。

■基準値:陰性(-)

■検査結果から疑われる病気
 陽性の場合には、次のことが考えられます。
 急性糸球体腎炎、慢性糸球体腎炎(IgA腎症参照)、腎結石腎盂腎炎腎梗塞遊走腎、腎動脈閉塞症、尿路結石膀胱腫瘍膀胱炎など

(執筆・監修:国際医療福祉大学大学院 臨床医学 教授〔臨床検査医学〕 下澤 達雄)