白血球数・白血球分画(百分率) 家庭の医学

■感染、炎症で増加、白血病で異常
 白血球は、骨髄で生成される好中球、好酸球、好塩基球、単球と、リンパ系組織で生成されるリンパ球に分類されますが、まとめて白血球として数えられます。正常では生成段階の初期の幼弱な細胞は末梢血には出てきません。
 これらの5種類の白血球が全体の中でどれくらいの割合になるのかを示したものが白血球分画(百分率)です。白血球分画は、通常、白血球数に異常をみとめた場合に、どの種類の白血球がおもに増減したかを調べるときに検査します。
 細菌感染が存在すると、血液中の白血球、特に好中球が増加し、細菌を貪食(どんしょく)して破壊します。白血球の増加は細菌感染症の存在を示し、手術の必要性や抗菌薬使用の判断基準として使われます。
 好酸球はアレルギー反応に関与し、花粉症やじんましん、寄生虫感染などのアレルギー反応状態では増加します。
 リンパ球は免疫反応に重要な役割をしています。異物を認識したり、抗体を産生したりします。
 白血球のがんを白血病といいますが、骨髄で異常な白血球細胞が増殖し、幼弱なまま末梢血液中にも出現してきます。異常な細胞が骨髄で増殖するので、正常な白血球や赤血球、血小板の生成がさまたげられて、感染を起こしやすくなったり、貧血、出血傾向がみられるようになります。

■基準値
◇白血球数:3300~8600/μL
◇白血球分画(百分率)
〈白血球百分率をみるときは、白血球数と関連させた絶対数も重要〉
・好中球桿状核球:0.5~6.5%
・好中球分葉核球:38.0~74.0%
・リンパ球:16.5~49.5%
・単球:2.0~10.0%
・好酸球:0.0~8.5%
・好塩基球:0.0~2.5%

■検査結果から疑われる病気
◇白血球数
 高値の場合には、次のことが考えられます。
 感染症、白血病心筋梗塞肺梗塞、手術、やけどなど
 低値の場合には、次のことが考えられます。
 重症敗血症急性白血病無顆粒球症薬物アレルギー

◇白血球百分率(好中球)
 増加の場合には、次のことが考えられます。
 感染症、自己免疫疾患心筋梗塞、手術後、やけどなど
 減少の場合には、次のことが考えられます。
 抗がん薬投与、放射線照射(放射線(電離放射)による健康被害参照)、急性白血病、がんの骨髄転移、骨髄線維症、敗血症無顆粒球症、ウイルス感染症など

◇白血球百分率(好酸球)
 増加の場合には、次のことが考えられます。
 特発性好酸球増加症候群、薬物アレルギー気管支ぜんそくじんましんアレルギー性鼻炎花粉症、寄生虫感染など
 減少の場合には、次のことが考えられます。
 腸チフス、顆粒球減少症、クッシング症候群(副腎コルチゾール産生腫瘍参照)、バンチ症候群

◇白血球百分率(リンパ球)
 増加の場合には、次のことが考えられます。
 リンパ性白血病、ウイルス性感染症、腸チフス結核など
 減少の場合には、次のことが考えられます。
 急性炎症初期、ステロイド投与、放射線照射、抗がん薬投与

(執筆・監修:国際医療福祉大学大学院 臨床医学 教授〔臨床検査医学〕 下澤 達雄)