労作時に起こる頭痛〔ろうさじにおこるずつう〕 家庭の医学

 たいていの頭痛は女性に多いものですが、これは40歳以上の男女に等しくみられます。頭痛は両側がズキンズキンと痛みます。多くは自然に軽快し、人口の1%が経験をするとされています。
 なんらかの運動中に起こる頭痛を原発性労作性頭痛と呼びますが、必ずしも良性とは限らず、怖い病気が隠れていることがあります。ほとんどあらゆる運動といってよいでしょう。
 運動で起こる頭痛には、いろいろな原因があります。いちばん多いものは急性緊張型頭痛で、トイレで下を向いていきんだら、頭のうしろに激しい痛みがはしり、1~2日続くことがあります。後頭下部の筋付着部の損傷によるものです。
 高血圧に伴う頭痛も多くみられます。最高血圧が200mmHgあるいは最低血圧が110mmHgを超えると起こることがあります。両側頭部がズキンズキンと痛み、後頭部に板が張りついたように感じます。血圧が正常化すると自然に治ります。
 脳の動脈が拡張するときの痛みもあります。これは水泳のときに、顔が冷えると反射的に血管が収縮し、その反動で血管が拡張するときにみられます。
 特にダイビングの直後に起こりやすく、血圧は関係がありません。
 酸素欠乏でもみられます。高山に登ると酸素が足りなくなり、二酸化炭素がふえます。すると脳の動脈が拡張して頭がフラフラし、顔が紅潮し頭痛がはじまります。もともとある片頭痛が運動で誘発されることも珍しくはありません。

(執筆・監修:一口坂クリニック 作田 学)