多発性筋炎・皮膚筋炎〔たはつせいきんえん・ひふきんえん〕

[症状]
 多発性筋炎や皮膚筋炎は40~50代に多い病気です。筋炎の発症は中年以降ですが、筋力低下は2週間ないし3カ月の間にどんどん悪化していきます。その症状は、手足の近位筋、つまり肩、上腕、腰、大腿(だいたい)の筋肉が特におかされ、脱力と筋肉痛を起こします。
 2~3週間で急に悪化する場合は脱力を自覚して診療を受けるものですが、高齢者に3カ月ほどのゆっくりした経過で脱力が起こると、老化現象ですまされて、初期には見のがされることもあります。
 四肢近位筋の脱力のほかに、のどの筋肉の障害を起こして嚥下(えんげ)障害を生じたり、重症例では呼吸筋が障害されることもあります。発熱は、筋肉の炎症の有無にかかわらず起こりません。
 皮膚筋炎では、多発性筋炎による脱力のほかに、皮膚にも症状がみられます。特に手や手指の甲側の皮疹、顔面やくび、胸の赤い発疹(ほっしん)をみます。この発疹は皮膚表面がぼろぼろに乾燥しくずれます。このほか、ひざやひじにもよく発疹があらわれます。このように、かなり特徴的な分布で皮疹が起こります。
 筋の脱力、皮膚炎の症状のほか、関節の痛みや寒いときに手のひらがまっ白になるレイノー現象がみられることもあります。

[診断]
 診断には、まず血液検査、CT(コンピュータ断層撮影)そして筋肉の検査が必要です。血液検査では、筋肉細胞の中にある、クレアチンキナーゼが血液中に大量に出てきます。これにつれてAST(GOT)、ALT(GPT)も上昇します。AST、ALTは肝障害のときにあらわれることが広く知られており、このために筋炎では、初期にしばしば肝障害による脱力と誤診されます。
 このほか、筋細胞の中にあるミオグロビンが血液中に出てくることが重要です。
 筋肉の検査としては、筋電図、それに筋生検による病理検査が大切です。筋電図では電極の針を筋内に刺し込むと、強い反応があらわれます。形の小さい、特徴的な筋障害型のパターンがみられるので診断ができます。
 CTあるいはMRI(磁気共鳴画像法)によって、病変の分布を知ることができます。特にMRIでは比較的初期から浮腫や炎症の変化をとらえることができます。さらに治療によってMRIの画像が正常化するようすから、病気の回復状態を判断することも可能です。
 筋生検は、通常は大腿部あるいは上腕の筋をわずかに切っておこないます。筋にはリンパ球などの炎症細胞が多数集まり、筋線維が死んでいく像や再生する像がみられます。
 診断で重要なのは、皮膚筋炎の場合、しばしば悪性腫瘍、特に男性では胃がん肺がん、女性では乳がん、子宮がん、卵巣がんが隠れていることです。このため、徹底的ながんの検査が必要になります。

[治療]
 治療は、いずれも大量の副腎皮質ステロイド薬を服用します。時には半年にもわたって大量の副腎皮質ステロイド薬を続けることが必要なこともあります。心臓の筋肉に病気が及ぶと、生命の危険が増すので注意が必要です。
 多発性筋炎・皮膚筋炎は、国が指定する難病医療費助成制度の対象疾病(指定難病)です。

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