二次性高血圧〔にじせいこうけつあつ〕

 高血圧の原因がはっきりしている場合には二次性高血圧といい、高血圧の原因がわからない場合には、本態性高血圧といいます。本態性高血圧は通常35歳以上の人が多く、二次性高血圧は比較的若い人に多くみられます。これらのなかには、治療法がまったく違うものや、治療が不要なものもあります。以前は、二次性高血圧の頻度は高血圧患者の10%前後と考えられていました。しかし、最近は原発性アルドステロン症や腎血管性高血圧などの原因はしばしば発見されており、少なくとも高血圧患者の10%以上は二次性高血圧だといわれています。
 二次性高血圧は、若い人の高血圧のほかに、治療でなかなか血圧が下がらない場合や、高齢者で急激に高血圧を発症した場合などに疑われます。
 高血圧の原因は、図のような神経やホルモン、特に副腎から出るアルドステロンやアドレナリン(エピネフリン)、腎臓から出るレニンと、それによってつくられるアンジオテンシン(アンギオテンシンともいう)の血管への作用とアルドステロンの過剰やナトリウム(Na)の蓄積など、いろいろなしくみとはたらきです。


■腎臓からくる高血圧
□腎実質性高血圧
 さまざまな原因で腎臓が病気になると、そのために血圧が上昇します。血清クレアチニンが上昇することにより、腎臓の機能が低下していることが診断できます。
 代表的な疾患としては、各種の腎炎、尿毒症、多発性嚢胞(のうほう)腎、糖尿病性腎炎などがあります。慢性腎臓病(CKD)の50~70%で高血圧が合併します。血圧が高いと、そのために腎臓の病気が進行するという悪循環を招きます。したがって、血圧を下げる必要がありますが、過度の血圧低下は逆効果ですし、実際に薬を使用してもなかなか下がりにくいのも事実です。
□腎血管性高血圧
 腎血管性高血圧を参照。

■中枢神経の異常からくる高血圧
 頭に外傷を受けたときとか、脳の中に腫瘍ができたとき、あるいはポリオなどによる神経病のあと血圧が上がることがあります。

■内分泌からくる高血圧
 下垂体、副腎、性器、甲状腺などホルモンの異常(過剰分泌)から起こる内分泌性高血圧です。
 クッシング症候群というのは、顔が満月のようにまるくなり、からだが異様にふとって、腰や大腿(だいたい)の皮膚に赤いしわ(線条)ができ、血圧が上がるもので、副腎皮質または下垂体の腫瘍ないし肥大によるものです。
 原発性アルドステロン症は、高血圧、多尿とともに、手足が一時的にまひして力が入らなくなるもので、副腎皮質の病気です。
 褐色細胞腫は、副腎髄質の腫瘍からときどき多量のアドレナリンやノルアドレナリン(ノルエピネフリン)の分泌が起こることで、一時的に血圧が上がり、頭痛、動悸(どうき)、ふるえがきたり、尿に糖が出たりするものです。
 そのほか、甲状腺機能亢進(こうしん)症でも、やせると同時に脈拍がふえ、血圧が上がります。脳下垂体の腫瘍で起こる先端巨大症でも血圧が高くなります。いずれも手術など原因となった病気の治療で治る可能性のあるものです。
 最近、肥満や糖尿病と高血圧の合併が多いことと、このような人では血液中のインスリンの濃度が高いことから、インスリンに対する感受性の低下が原因で高血圧になるという説があり、多くの研究がおこなわれています。

■心臓や血管からくる高血圧
 一般に、慢性の心臓病では、心臓が弱っているにもかかわらず、血圧がやや上がっていることが多いのですが、それは高血圧が心不全の一因になることが多いためです。大動脈弁閉鎖不全でも高いことがあります。心臓ブロックといって、心臓のうつ数(心拍数)が40以下になると脈圧が大きくなり、最大血圧は高くなります。
 また、先天性のという病気では大動脈の途中が生まれつき狭くなっていて、上半身(頭と両手または右手)の血圧が非常に高く、下半身の血圧が低くなります。大動脈炎症候群(高安〈たかやす〉動脈炎)でも高血圧が起こります。腎動脈がなにかの原因で狭くなっても血圧が上がります(腎血管性高血圧)。
 生理的老化現象としての動脈硬化も高血圧の原因の一つです。からだ全体の動脈の弾力性が減ると、心臓から血液が入ってきたとき、大動脈壁がよく伸びないので、最大血圧が高くなります。しかし、最小血圧は上がらず、かえって下がることもあります。これを収縮期高血圧といい、200/80mmHgというように上と下の血圧に大きな開きがあります。この場合も降圧治療の対象となります。

■薬物の副作用からくる高血圧
 長期に服用を続けていると、そのために血圧が高くなることがあります。特に注意すべきなのは、漢方薬などに含まれている甘草(かんぞう:グリチルリチン製剤)です。そのほか、副腎皮質ステロイド薬や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、経口避妊薬、腎不全で使用するエリスロポエチンなどでも高血圧をきたすことがあります。
 この場合は薬剤を中止すると、たいていは数週間で血圧はもとに戻ります。
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