乳幼児の呼吸器系の発達 家庭の医学

 呼吸器系でよくみられる乳幼児の症状を解説します。

□呼吸が速い
 赤ちゃんの呼吸は成人と大きく違います。呼吸数が多いのが特徴です。大人は、1分間に12~18回呼吸しますが、新生児は40回、乳児は30回、5歳で25回、10歳で20回程度です。日ごろの呼吸状態をよく観察しておいてください。
 寝ていると、ときどき呼吸していないように見えることがあります。子どもの場合には呼吸していない間隔が2回の呼吸分以上の長さであれば無呼吸といいます。1分に30回の呼吸であれば、4秒以上です。たびたび観察される、苦しそうに起きてしまう、いびきなどの呼吸音が常にある、などがあれば、小児科医に相談してください。鼻閉などでも生じます。

□腹式呼吸
 大人は胸腹式呼吸ですが、乳幼児は腹式呼吸です。そのため、おなかがはっていると呼吸が苦しくなることがあります。7~8歳ころから胸式呼吸が中心になり始めます。

□口呼吸ができない
 大人は鼻腔(びくう)がつまると苦しいので、口をあけて呼吸します。乳児期は鼻腔からの呼吸しかできないので、鼻がつまると、とたんに苦しくなり呼吸困難におちいります。軽い上気道炎でも、鼻炎が合併して鼻閉塞(鼻がつまる)を起こしたり、アデノイドがはれて気道が閉塞したりすると、口から呼吸ができないために、危険になることがあります。
 鼻をグズグズいわせて苦しそうな場合は、鼻腔から吸い出すか、小児科を受診してください。鼻汁を吸い出す家庭用の用具も便利です。泣くと口から呼吸ができるので、つらそうに泣き続けるときには要注意です。夜間のいびきも、鼻や咽頭のつまりを意味しますので医師に相談してください。

(執筆・監修:自治医科大学 名誉教授 桃井 眞里子)
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