幼児の食事 家庭の医学

 幼児期の食事は大人と同じ食卓を囲むので、栄養は大事ですが、それと同時に、食行動の習慣づけも大事です。
 1.手を洗う習慣をつける
 2.いただきます、ごちそうさまのあいさつの習慣をつける
 3.遊び食べをせずに食事をする
 4.スプーン、はし、お皿、茶碗などの食器を使って食事をする習慣をつける
 これらを家族全員で気をつけるようにします。みんながしていることを自然に習慣づけるようにすることが大事です。

■幼児の食事の問題点
□少食
 少食のうったえはたいへん多いのですが、少食で病気になるのは意外に少ないのです。少食は、実際に食べているのに少食と思い込んでいる場合と、実際にほんのすこししか食べない少食があります。多少細身でも、元気で活発できげんもよければ、問題ありません。これらの子どもたちは、少食で多少小さめだったり、やせ気味だったりすること以外には、なにも問題はありません。幼児の多くは、食べることにあまり関心を示しません。そのほかの関心事に夢中で、食べること、食物への関心が薄いのです。いっぽう、親は食べさせることに必死になります。
 このため食事時間が親子の戦いになってしまうのです。これでは、かえって少食にさせてしまいます。「食べてもらいたい」親の気持ちを変えることが大切です。「食べさせたい」気持ちは、「自分の思うとおりにさせたい」という気持ちに通じます。子どもの気質も見守り、元気なら少食を受け入れるほうがよいのです。

□過食
 おどろくほど食べる子どももいます。体質的に大食であることもありますが、肥満に注意してください。幼児期の肥満は成人の肥満につながるおそれがあります。家族の誰かが肥満である場合には、より注意が必要です。不規則な食事は肥満のもとですので、家族全体の食事を見直してください。
 過食とは、食行動の異常を伴う大食のことです。この場合には、発達上の問題や病気が潜むことがありますので、小児科医に相談が必要です。

□偏食
 色、食感、食材、味などで一定の食物を拒否するのが偏食です。一部の食材であれば、あまり気にしないでよいでしょう。極端にご飯しか食べない、野菜は食べない、一定の食べかたしかしないなどのようなこだわりがある偏食が要注意です。この場合には専門医に相談してください。発達上の問題が潜むことがあります。

(執筆・監修:自治医科大学 名誉教授 桃井 眞里子)
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