子宮頸(けい)がんなどを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチンについて、定期接種を逃した女性を対象とした特例措置「キャッチアップ接種」が来年3月末に終了する。接種は計3回で約6カ月間かかるため、全額公費で受けるには今年9月ごろまでに1回目を打つ必要がある。厚生労働省は「希望する人は早めの接種を検討してほしい」と呼び掛けている。
 子宮頸がんは、子宮の出口付近にできるがんで、HPVは主に異性間の性交渉で感染する。HPVに感染しても約90%の確率で自然消失するが、長期間感染が続いた場合はがんになることがある。厚労省によると、国内では年間約1万1000人の女性が子宮頸がんに罹患(りかん)し、約2900人が亡くなっているという。
 HPVワクチンは、小学6年~高校1年までの女性が無料で打つことができる。2013年4月から定期接種化されたが、全身の痛みなどの訴えが相次ぎ、同年6月から接種の「積極的勧奨」が一時中止となった。厚労省は最新データに基づき、22年4月から勧奨を再開。この間に対象年齢を過ぎた1997~2007年度生まれの女性に対し、特例のキャッチアップ接種を実施している。
 HPVは200種類以上の遺伝子型があり、子宮頸がんの原因となるのは少なくとも15種類。国内で使用できるワクチンのうち、2価と4価ワクチンはウイルス型の50~70%をカバーする。23年4月に新たに定期接種化された9価ワクチンは80~90%を防ぐことができ、一層のがん予防につながると見込まれている。 (C)時事通信社