脳の神経細胞が過剰に活動して起きるてんかん発作は、脳内で神経細胞を支援する「グリア細胞」の一種の活動がきっかけとなっている可能性が高いことを、東北大の研究グループがマウスを用いた実験で突き止めた。グリア細胞の活動を制御できれば、てんかんの新たな治療法開発につながる可能性があるという。研究成果は4月、国際科学誌に掲載された。
 グリア細胞は神経細胞とともに脳を構成し、神経細胞を構造的に支え、栄養を供給する。研究グループはグリア細胞の一種「アストロサイト」に着目。遺伝子操作により活動状況が分かるようにしたところ、神経細胞が過剰に活動する約20秒前に、アストロサイトの活動が始まっていることが分かった。
 アストロサイトだけに電気的な刺激を加えたところ、神経細胞が過剰に活動。しかし、アストロサイトの代謝機能を妨げる化合物を投与すると、電気的な刺激を加えても神経細胞の過剰活動はほとんど起こらなかった。
 このため、てんかん以外のさまざまな脳の病気についても、アストロサイトが何らかの役割を果たしている可能性があるという。研究グループの東北大の松井広教授(脳細胞生理学)は、「脳と心の仕組みを理解する研究を続けていきたい」と話した。 (C)時事通信社