治療・予防

高齢者や乳幼児は要注意―熱中症
周りが気付いて早めの対処を

 気温や湿度の高い環境下で、さまざまな症状が表れ、重症化すると命を落とすこともある熱中症。帝京大学医学部(東京都板橋区)救急医学講座の三宅康史教授は「体温調節機能が十分に発達していない乳幼児や、暑さや喉の渇きを感じにくい高齢者は、熱中症になりやすく、注意が必要です。発症しても本人が自覚していないことが多いため、家族や周囲の人が早めに異常に気付き、対処することが大切です」と話す。

 ▽まず意識を確認

 熱中症は、体温が上昇し、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かなくなったりして、さまざまな症状が表れる。

 初期の症状として、めまいや立ちくらみ、失神などが起きる。悪化すると頭痛や嘔吐(おうと)、倦怠(けんたい)感が表れ、重症化した場合、全身のけいれんや意識障害を引き起こすのが特徴だ。

熱中症の症状と対応方法

 三宅教授は「意識がある場合とない場合では、応急処置の方法が異なります。熱中症が疑われる場合、まず患者さんの意識の状態を確認することが重要です」と指摘。「まず大丈夫ですか、と声を掛け、しっかり返事ができれば、涼しい場所に移動させて衣服を緩めて体の熱を放出させた上で、自ら水分を取ることができれば意識があると判断されます。自分で水分を飲めなければ、意識がないと判断し、すぐに救急車を呼び、病院への搬送が必要です」と説明する。

 ▽エアコンで暑さ対策を

 問題となるのは、熱中症による死亡者の約8割を占める65歳以上の高齢者への対策だ。屋内での発症例が増えており、重症化するケースが多い。室温管理や水分補給などの予防を心掛けることが重要で、高血圧や腎臓病など持病のある人が多いことから、水分を取る際には塩分を含まない麦茶などを飲むことが望ましい。

 一方、健康な若年や中年層では、炎天下で学校行事に参加したり、激しい運動や肉体労働をしたりしている最中に発症する頻度が高い。活動する際には、水分と塩分を補給できるスポーツドリンクなどを小まめに摂取したい。

 三宅教授は「高齢者の方は、睡眠時や長時間過ごす場所には温度計を横に置き、エアコンや扇風機を利用して常に自分の心地よい温度で過ごしましょう。また、夏場の車内はエアコンが利いていれば暑くはなりません。乳幼児の放置は厳禁ですが、運転中に水分摂取を忘れると、クーラーで乾燥しているので脱水になりやすく、車から出た後に熱中症の心配があります」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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