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首のエコーで分かる全身の動脈の状態
~危険因子を持つ人はぜひ受けたい検査~ 日本医科大学武蔵小杉病院救急・総合診療センター長 塚田弥生氏

 最近、健康診断や人間ドックで、「頸(けい)動脈エコー」をオプションで受ける人が多くなりました。その結果、「頸動脈プラーク」を指摘される人がいます。

 検査は受けているものの、この検査で何が分かるのか、知らない人が多いのではないでしょうか。「経過観察しましょう」というコメントを見ても、「では、具体的にどうすればいいのか」と、分からずに、戸惑う人も見られます。

塚田先生

 毎年、2月は全国生活習慣病予防月間で、市民公開講演会なども予定されています。そこで今回は、動脈硬化の指標ともいえる頸動脈プラークについて、循環器の専門医である塚田弥生先生にお話を伺いました。

 ◆排水管内のかすの塊

 海原 まずは、頸動脈エコーについて、解説していただけますか。

 塚田 頸動脈エコーは、一口で言えば「動脈硬化」を評価する検査です。頸動脈は、皆さんの心臓と脳をつなぐ大事な血管です。人間の体の中で最も体の表面近くを走っています。

 頸動脈の状態を、超音波で評価するのが「頸動脈エコー検査」です。動脈硬化の危険因子である「脂質異常(コレステロール値の異常)」「糖尿病」「高血圧」「喫煙習慣」「肥満」「運動不足」などが該当する人には、ぜひ受けていただきたい検査です。

 海原 頸動脈の状態がどうなっているのかを調べるわけですね。

 塚田 ちょっと例えは悪いのですが、排水管を想像してください。取り替えたばかりの排水管は柔軟性もあり、構造もしっかりしています。しかし、年月を経ると、構造そのものが劣化し、汚水が漏れたり、詰まったり、不都合なことが起きてしまいます。

 人間の場合、動脈の劣化は「厚み」と「柔軟性の喪失」に反映されます。頸動脈エコーでは、「内膜中膜厚(IMT)」と呼ばれる「壁の厚み」を評価します。IMTは年齢とともに厚くなります。

 また、悪玉コレステロールや糖尿病、高血圧は、動脈の劣化を進め、IMTの厚みが増してしまいます。

 ◆「プラーク」とは

 海原 頸動脈の内側も分かるのですか。

 塚田 排水口に油を流してしまって、配水管の壁がベタベタして、管の曲がり角など、部分的にごみが張り付いて、厚くなることもありますね。人間の場合も、動脈の壁に脂肪やカルシウムなどが堆積して、部分的に厚くなります。これが「プラーク」になります。

 排水管に油や食べ物のかすなどを流し続けると、油が硬くこびりついて泥のようになり、管が細くなって流れが悪くなります。いわゆる動脈の「狭窄(きょうさく)」の症状です。

 海原 血管にかすがたまっているというイメージですね。この検査で、どのくらいの数字だと心配なのか、不安になる人もいます。気になる値と対策を教えてください。

 塚田 IMTは年齢と性別によって異なります。おおむね0.5ミリから0.9ミリ以内の範囲です。一方、1.1ミリ以上の局所的な厚みをプラークと判断します。

 しかし、厚みが 1.5ミリ を超えない限りは、問題になりません。プラークは、出来た部位、サイズ、表面の形、内部の性状、可動性の有無なども評価します。

 プラークの中で、出来たてで脂肪が多く、ふわふわして動くものや、血管がただれているものは、脳梗塞の原因になるため、早めに生活習慣病の治療を強化する必要があります。


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