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コロナ、秋・冬に感染者増加か 
インフル流行との重なり懸念

 8月は新型コロナウイルスの感染確認者数が全国で1000人を超える日が続いた。背景には、夏場は流行のペースが落ち着くとの見通しが外れた面もある。専門家は感染者の増加が予想される秋から冬に向けて抜本的な対策の必要性を強調。同時に、インフルエンザの流行時期と重なることから、医療現場の対応にも注意を喚起する。

猛暑の中、マスクを着けて歩く人たち=浜松市、2020年8月16日【時事】

猛暑の中、マスクを着けて歩く人たち=浜松市、2020年8月16日【時事】

 ◇夏に流行が収まらず

 「これまでは、他のコロナウイルスと同様に夏場になれば活性が低下するとみられていた。しかし、赤道近くの中南米やアフリカ南部、北半球の南アジアのように暑い地域でも、このウイルスの感染力は低下していない」

 長年、渡航者医療の観点から感染症問題に取り組んできた東京医科大学病院渡航者医療センターの濱田篤郎教授はこう指摘した上で「『夏場には流行が落ち着く』という前提でいろいろな対策が組まれていた。その前提を見直す必要がある」と話す。

 特効薬もワクチンもない新型ウイルスの感染拡大を抑え込むには、現時点では人同士の接触を減らすしかない。しかし、こうした対策を実施すると移動などの社会活動が抑制され、経済的には大きなマイナスが生じてしまう。

 ◇感染抑え込みへ対策を

 「春の感染拡大では、『夏になれば流行が収まる』という前提に立って、学校の休校や外出自粛要請などの対策を打ち出すことができた。その分を埋め戻そうと社会が動きだしたので、再び感染が拡大した」

名古屋市が開設したドライブスルー方式のPCR検査所=名古屋市、2020年05月20日【時事】

名古屋市が開設したドライブスルー方式のPCR検査所=名古屋市、2020年05月20日【時事】

 濱田教授は「このウイルスが夏よりも活性化する秋から冬にかけて感染者がより増える可能性は高い。その時にもう一度、今春と同様に、感染を抑え込む取り組みを全国的に実施する必要がある」と、抜本的な対策を講じるよう訴えている。

 ◇高齢者の感染拡大防止を
 PCRの検査数は各国と比べてまだまだ少ないものの、春の流行時よりも増えた。世界保健機関(WHO)のインフルエンザ・ガイドライン委員でもある、神奈川県警友会けいゆう病院の菅谷憲夫医師(小児科)は「新型コロナには現在、ワクチンも薬もないが、検査だけは確立している。PCR検査を拡大して、肺炎患者だけではなく、軽症や無症状の感染者を見つけ出して隔離して流行拡大を防ぎ、高齢者への感染拡大を防ぐことが重要だ」と強調する。

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