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感染予防のために私がやっていること―新型コロナ
~朝の習慣、移動、仕事中、食事~ 医学博士 福田千晶

 「お医者さんたちは、新型コロナウイルス感染予防のために、どんなことをしているんですか?」と聞かれることがあります。

 今回は、私が感染予防のために心掛けていることを挙げてみます。

起きたら歯磨き=写真はイメージです【AFP時事】

 ◇朝の習慣

 朝はまず起きたら、体調の確認です。気分や体調の不良はないかを判断して、熱を測ります。それから歯磨きです。歯は起きてすぐに磨く人と、犬の散歩や朝の運動などしてからの人、朝食後に磨く人などいろいろです。

 口腔(こうくう)内が不潔だと感染症にもなりやすいので、口腔内の洗浄は大切です。気道を漂っていたウイルスは、寝ている間の呼吸で歯の裏側や舌に付着していることがあります。まず、それを落としたいので、起きてすぐに歯を磨きます。同時に舌も磨きます。私は、歯ブラシで舌も軽くこすりますが、舌を磨くためのブラシを使用するのも良い方法です。

 歯磨きの後は、朝食です。朝食はパンが多いので、朝食の用意をする前と、食べる前にも必ず手を洗います。朝食準備では、購入した食材やパンが入っているポリ袋、食器棚、冷蔵庫の扉なども触ります。どこかにウイルスが付着しているかもしれないので、パンを食べる直前には必ず手を洗います。この話をすると「家の中にいると、食事前の手洗いは忘れていた」という意見も聞かれます。

 ◇公共交通機関での移動中

 外出時は、不織布のマスクをして、さらに予備のマスクを2~3枚持参しています。人混みを歩いたり、近くでせきをした人などがいたりすれば、マスクを交換するためです。なるべく眼鏡を掛けて、目も防御します。

 通勤の電車では、すいている車両に乗るようにしています。そして、座るならドアが開くたびに換気されやすい場所がベストです。座席に座った際に、前に人が立っていることもあります。その場合は、もし、せきやくしゃみをされると、マスク越しでも少しは飛沫(ひまつ)を浴びる可能性があるので、時によっては座席を立って移動します。

 職場や目的地に着いたら、手洗いをします。「家に帰ったら手を洗う」ということは習慣になっている人も多いけれど、職場や学校などに到着したら手を洗うことは行っていない人も多いでしょう。ビルの中に入っている職場で、トイレが廊下にあるなら、まず職場に入る前に手を洗います。

 トイレで手を洗った直後に消毒をしている人を見掛けます。でも、手の消毒は乾いた手に使用するほうが効果的です。手を洗って残った水分が付着している手では、消毒のアルコール濃度が水で薄められてしまい、十分な効果が得られません。

 駅や電車が混んでいたり、近くにいる人がせきをしたりしていたら、歯の表面や舌にウイルスが付着していることも考えられます。職場などの目的地についての手洗いの後で、歯磨きと舌洗浄をすることもあります。

野球場でも換気中

 ◇仕事中

 室内の換気をきちんとしたいところです。でも、多くの医療機関で診察室には窓がありません。診察に支障ない範囲で、ドアをなるべく開けるようにして、室内の空気を入れ替えます。10~5月ごろまでの乾燥しやすい季節は、診察室に霧吹きを持参して、加湿するように心掛けます。加湿器が置ければ良いのですが、諸事情で置けない場合や、加湿器でも不十分なときは、霧吹きでカーテンや床に霧を吹いて加湿しています。室内では適した湿度である40~60%を目指したいです。

 喉が渇いて飲むものは、カテキンによる喉を守る力を高めてくれることを期待して、なるべく緑茶にしています。普通に飲むだけでは、どのくらいの感染予防効果があるかは分かりませんが、最善を尽くすという感じです。

 ◇ランチタイム

 外出先などで、どうしても外食する場合、きちんと換気されている店を選び、店に入るときには、手の消毒は必ずします。隣の席との間隔があり、ソーシャルディスタンスが保てることもお店選びで重要視しています。

 また、「いらっしゃいませー」と店員サン全員、厨房(ちゅうぼう)の調理人までもが大声で迎えてくれるお店は「マスクはしていても、飛沫は大丈夫かなぁ」と心配になります。すでに入ってしまった店なら、次回は来るのをやめようと考えます。

 複数人数での外食はなるべく控えていますが、都合により2人での食事になる場合は、お店の状況により許されるなら、4人掛けのテーブルで、はす向かいに座ります。対面や並びの席にならないように心がけます。そして、もちろん「黙食」と「マスク会食」。食べるときは黙って食べて、会話は食べ終わってからマスクをしてからにします。

 主食をパンかライスか選べるときには、手を触れずに箸やフォークで食べられるライスを選びます。最初のスープが来たらマスクを外してスープ、食べ終えたらマスクを着用して少し会話。メインの料理が来たら、また黙って食べて、終わったらマスクをして話をします。食後のコーヒーが運ばれてきたら、再度、マスクを外してコーヒーを飲みます。飲み終えたらマスクをして、談笑となります。ちょっと面倒ですが、慣れれば自然にできることです。

 食事中はテーブルに触れたりしていますから、お店を出る時にも手の消毒を忘れずにしています。さらに、職場や自宅に戻ったときには、まず洗面所に直行し、手洗いをします。

 ◇夕方

 帰宅途中の電車内では、朝の通勤時と同様の対策を行っています。春は、昼間の暖かさに比べて夕方は急に冷えることがしばしばです。スプリングコートやウインドブレーカーを羽織り、寒くないようにして帰ります。冷えると体は外敵から守るパワーが落ちるとも言われています。今の寒さに戦うことで精いっぱいになってしまい、外敵であるウイルスなどと戦うパワーが手薄になりかねません。栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠も感染予防対策には欠かせません。

 コロナ感染は、心配すればキリがありませんが、一人ひとりができる限りの感染予防対策は行っておきたいですね。(了)


福田千晶氏

 ▼福田千晶(ふくだ・ちあき)

 慶應義塾大学医学部卒業、医師として東京慈恵会医科大学病院リハビリテーション科勤務を経て、クリニックでの診療と産業医業務を行う。勤務医時代に、エッセーや論文のコンテストでの受賞などをきっかけに執筆活動も開始し、健康に関するテーマで著書や監修書は多数。

 日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本人間ドック学会人間ドック健診専門医、日本リハビリテーション医学会専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本体力医学会健康科学アドバイザー。

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