特集

脳出血を起こしたA子さんの急性期リハビリ
〜ある患者と家族の体験を通して〜 執筆業、元「厚生福祉」編集長 東条 正美

 2018年2月にもやもや病を原因とする脳出血を起こし、東京都内のY大学付属病院で手術を受けた、筆者の知人であるKさんの息女A子さんのリハビリテーション(以下、リハビリ)に関連して、リハビリの概要やリハビリ病院(回復期リハビリ病棟)の動向などを取り上げてきた。今回からは、A子さんのリハビリの模様を振り返りながら、リハビリの現状や課題を点検する。

 ◇「急性期から回復期へ」は例外

 一般にリハビリは、病気などの発症・治療の後の時間の経過に伴い、大きく急性期、回復期、維持期(慢性期、生活期)の3段階に分かれる(図)

 急性期リハビリは、脳卒中、骨折などの急な病気やけがの治療直後あるいは治療と並行して行われるリハビリ。回復期リハビリは、症状が安定する回復期に日常生活を送ることができるよう、回復期リハビリ病棟や地域包括ケア病棟で集中的に行うもの。最後の維持期リハビリは、自宅や介護老人福祉施設などの施設で急性期・回復期リハビリによって取り戻した機能の維持を図り、日常生活の自立と社会復帰を目指すものだ。

 ここで注目されるのは、「急性期→回復期→維持期」と3段階を経るケースは例外で、急性期病院などで治療とリハビリを受けた後、回復期リハビリは受けずに、直接自宅復帰をする患者が多くなっていることだ。細かく言えば、回復期リハビリを経ない患者も「自宅に戻る前に、もっとリハビリに取り組みたい」という場合は、いったん老人保健施設などに入居してから自宅に戻るという流れもある。

 厚生労働省の16年度入院医療等の調査によると、「7対1(患者7人に対し看護師1人)」の一般病棟に入院していた患者5570人の退院後の行き先は、「自宅」が69%を占めた。そのうち在宅医療の提供を受けていたのはわずかだった(表1)。地域包括ケア・回復期リハビリ病棟に入棟したのは約6%だった。なお、入院前の居場所は、「自宅から」が75%を占めている。また、「10対1」の一般病棟(患者数3004人)の場合、退院後の行き先は自宅が61%で、地域包括ケア・回復期リハビリ病棟は約7%だった。入院前の居場所は自宅が72%だった。

 この調査結果では明らかではないが、退院した患者のすべてがリハビリの対象となっていたわけではない。例えば、千葉大学医学部付属病院の場合、「入院している患者の3人に1人がリハビリを受けている」としているので、このデータを当てはめると「7対1」の場合、約1800人がリハビリを受けていたことになる。

 これらの患者を分母とすると別の結果が出てくると思われるが、いずれにしても、回復期リハビリ病棟などを経由せずに直接自宅などに戻っている患者が多いのは確かだ。患者が急性期病院から直接自宅に戻るかどうかは、それぞれの患者の状態にもよるだろうが、急性期病院でのリハビリの効果が大きかったとも言える。また、医療費削減という観点からも歓迎すべきことなのだろう。

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