新米医師こーたの駆け出しクリニック

マスクを続ける人もやめる人も思いをはせてほしいこと 専攻医・渡邉 昂汰

 ついに、マスクの着用が個人の判断に委ねられることになりました。私の体感では、まだ8割くらいの人がマスクをしているように思いますが、これから徐々にマスクオフ率が上がっていくのでしょうか。

 今回は、マスク着用の在り方について、現時点での私の考えをお話ししたいと思います。

マスクを着け続ける人、外す人、それぞれですが、決して自分の意見を押し付けることのないように【時事通信社】

マスクを着け続ける人、外す人、それぞれですが、決して自分の意見を押し付けることのないように【時事通信社】


 ◇メリットだけではない現実

 もちろん、飛沫(ひまつ)のことだけを考えたら、着けないより着けた方が良い。これは揺るぎない事実です。しかし、マスク着用が本当に不快で耐え難い人、マスクが害になってしまう人も実際には存在しています。

 僕も、実はかなり苦手です。肌が弱いので、コロナ禍では毎日のように鼻の先にニキビができ、マスクひもが当たる耳裏がただれてしまうこともありました。

 そんな人は3年間、耐えに耐えて、ようやくマスクを外せるようになったのです。決してコロナを軽視しているわけではないことを、ご理解いただきたいです。
 
 ◇マスクを続けたい人への配慮

 一方で、コロナ感染を何が何でも防ぎたい、と思う人も多くいます。基礎疾患のある人、乳幼児のいる家庭、妊婦さんなどにとっては、みんながマスクをしなくなる社会は恐怖かもしれません。

 今、話している人、隣にいる人にとって、コロナは致命的になるかもしれない。コロナ初期と同じくらいの緊張感や恐怖感と、この人は今も戦い続けているのかもしれない。

 このことは常に忘れずに、たとえルールにはなくても、臨機応変にマスクを着ける思いやりは持ちたいものです。
 
 ◇それぞれのウィズコロナへ

 コロナ前、マスクをするかしないかは、自分の裁量に任されていたはずです。今後もコロナ対策と社会生活の両立を模索していく必要がありますが、重要なのは、人に自分の意見を強制しないこと、そしてそれぞれの事情に思いをはせ、寄り添うことではないかと思っています。

 この記事も、私の一意見に過ぎず、皆さんを従わせようとするものではありません。しかし、こうして意見を表明していくことで、より良いウィズコロナ社会に一歩ずつ近づくことを願っています。

(了)

 渡邉 昂汰(わたなべ・こーた) 内科専攻医および名古屋市立大学公衆衛生教室研究員。「健康な人がより健康に」をモットーにさまざまな活動をしているが、当の本人は雨の日の頭痛に悩まされている。

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