治療・予防

抗がん剤の副作用を漢方で改善=西洋薬による治療を「補完」

 がんを縮小、除去する抗がん剤は、その強力な効果ゆえに正常な細胞にも影響を与えてしまう。治療を受ける患者の多くはさまざまな副作用に悩まされているが、近年、抗がん剤のつらい副作用を漢方薬で改善できることが、研究によって分かってきた。

 ◇副作用軽減が目的

 抗がん剤は「手術」「放射線治療」とともに、がん治療の3本柱とされる。しかし、健康・医療分野の広告サービス会社「QLife」が2013年にがん患者2249人を対象に行ったインターネット調査によると、副作用のため抗がん剤の使用をやめたいと考えたことがある患者のうち、「副作用について医師に相談したことがある」と回答したのは実に88.6%に上った。

 抗がん剤の副作用は患者の生活の質を著しく低下させ、治療自体を中断せざるを得ないケースも少なくない。国立がん研究センター研究所(東京都中央区)がん患者病態生理研究分野の宮野加奈子研究員は「副作用をケアすることによって、予定されていた治療を適切に行うことができ、予後も改善されるという報告もあります」と話す。

 代表的な抗がん剤の副作用は吐き気、倦怠(けんたい)感、手足の痛みやしびれ、口内炎、下痢、食欲不振など。従来は、吐き気止めや痛み止めなど通常の西洋薬で対処されてきたが、「漢方薬を併用することで、抗がん剤の副作用をさらに軽減できることが、最近の臨床試験で明らかになってきました」と、宮野研究員は説明する。

 ◇自己判断は禁物

 しかし、これまで漢方薬の効果を実証した臨床試験はまだ少なく、がん治療の現場における漢方薬の地位は決して高くない。患者が漢方薬を試してみたくても、医療機関によっては漢方療法を認めてくれないこともある。

 「当センターにも『漢方薬の処方が受けられる病院を教えてほしい』という問い合わせが寄せられます」と宮野研究員。現在のかかりつけ医で漢方薬の処方が難しい場合は、「QLife漢方」で検索すると、最寄りの医療機関が分かる。

 また、宮野研究員は「漢方は“代替療法”ではありません」と強調。抗がん剤に取って代わるのではなく、あくまでも西洋薬による治療を「補完」するのが漢方薬だ。さらに、効果や副作用が比較的マイルドとされる漢方薬であっても、大量に服用するのは危険だ。

 「ほとんどの漢方薬に含まれる甘草は、過剰摂取すると筋力低下、ひどい場合は心不全を引き起こすことがあります」と、宮野研究員も注意深い処方と服薬を勧める。漢方薬の処方を希望する場合は、必ず正しい知識を持つ医師が在籍する医療機関に相談してほしい。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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