インタビュー

10代選手の低体重と無月経、一生を左右=東大病院「女性アスリート外来」の能瀬さやか医師

 ◇治療はスポーツ栄養士と連携

 能瀬医師は2012年2月から約5年間、国立スポーツ科学センターで、女性アスリートらの健康支援に携わった。元の勤務先だった東大病院に戻り、「女性アスリート外来」で中心的な役割を担う。週1回、水曜午後の外来には、多い日で10人以上の女性が訪れるという。

 「ほとんどがトレーナーやコーチ、整形外科の先生の紹介で、一番多い訴えは無月経。14~15歳から30代くらいまで、年齢層は幅広い」

 無月経への対応では、能瀬医師がまず、エネルギー不足が原因かどうかを鑑別する。エネルギー不足なら、公認スポーツ栄養士の協力の下、選手の運動量と食事量を見直す。

 具体的には①主食(主に炭水化物=ご飯やパン)②主菜(主にたんぱく質=肉や魚、卵、大豆製品)③副菜(主にビタミン、ミネラル=野菜や芋、キノコ、海藻)④牛乳・乳製品(主にカルシウム、たんぱく質=牛乳やヨーグルト、チーズ)⑤果物(主にビタミンC、炭水化物)―をそろえた食事であることを前提に、「食事量を増やす」「運動量を減らす」の片方または両方に取り組んでもらう。

 「エネルギー不足の改善には、運動量と食事量の見直しが一番の治療法」として、現在、栄養士らと共に指針作りに向けても動いているという。ホルモン療法は補助的な位置付けだ。摂食障害を伴っている場合は、心療内科と連携して対応する。


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