Dr.純子のメディカルサロン

「今楽しい」を続ければ認知症患者は変わる
吉田勝明・横浜相原病院院長

 海原 認知症については知識がないという方も多いと思います。これだけは知ってほしいというポイントなどお教えください。

 吉田 認知症と加齢による物忘れはなかなか区別がつきにくいかと思われます。最大の違いは「自覚があるか否か」だと思っています。つまり自分自身で「最近物忘れが多くて…」と外来に来られる方はまず問題なし。一方で、家族に半ば無理やり連れてこられて「私は正常だ!」と言っている人が問題です。認知症と診断されても治るものもあります。例えば、ある種のビタミン欠乏、甲状腺機能低下症慢性硬膜下血腫などは適切な治療によって治ります。まずは検査を受けることが大切です。

 海原 認知症のご家族を持つ方は認知症の方の問題行動で悩まされることが多いと思います。すぐ忘れたり、被害妄想で言い争いが起きたり、徘徊(はいかい)したりで介護する方がストレスを感じると考えられます。そうしたストレスにどのように対処すればいいのでしょうか。

 吉田 1人で抱えない、家族みんなであるいは地域で支えてあげることが大切です。介護する方のケアは認知症患者のケアと同じくらい大切なことです。可能な限り「心のゆとり」をもって対応してください。


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