Dr.純子のメディカルサロン

「今楽しい」を続ければ認知症患者は変わる
吉田勝明・横浜相原病院院長

 吉田 僕はもともと胸部外科医でした。肺がんの研究で国立がんセンターに2年ほど「国内留学」し、医学博士の研究テーマも肺がんでした。肺がん乳がんと一般消化器外科手術を数多くこなしていました。

 医学博士を取得すると、大学に対するお礼の意味も込めて医局の先輩方の病院へ出張しました。そこでは小児科から整形外科に至るまで、いわゆるゼネラリスト、今で言う総合診療科医として、多くの患者さん(特に田舎でしたからお年寄りの患者さん)を診てきました。

 一方で、乳がんの患者さんは、手術後のメンタルケアが薬物治療にも勝るほど必要なことを実感しました。そのようなケアを行っていると、僕の遅番の外来診療の終了時刻が夜8時、9時になることもよくありました。

 そのような中、僕の親戚が関わっている病院グループで、新しく横浜に精神科病院を建設する話がありました。そこのコンセプトは「認知症の患者を診てあげられる病院」。当時は、認知症の症状があれば一般老人病院では診てもらえない。認知症患者は多くの場合、内科的、外科的な合併症を持ち合わせています。合併症のある患者さんは精神科では診られないという現実がありました。そこで僕は、お年寄りが決して嫌いではなかったし、そこそこの合併症なら診てあげられるし、ということで新病院の院長になったわけです。


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