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気にするほど眠れなくなる
間違っている睡眠の常識

 ◇問題は昼間の生活の質

 夜眠れない、夜間に何度も目が覚める、朝早く目が覚める―などと訴える人が多いが、内村教授は「これらの睡眠に関する症状だけでは不眠症とは言えない」と指摘する。ポイントは、昼間の眠気を我慢できない、何事にも意欲が湧かず、体が疲れやすいなど昼間の生活の質(QOL)が低下しているかどうかだ。不眠症を治療する場合は、夜間の睡眠自体に加えて昼間のQOLの改善を目標にする必要がある。医師は患者に、昼間に何か問題があるかどうかを尋ねなければならない。

内村直尚久留米大学副学長

 ◇お昼寝は1時間以内

 昼寝をする主婦は多いだろうし、最近では昼の休憩時間に昼寝を推奨する企業も出てきた。ただ、内村教授は「昼寝は1時間以上取らず20~30分にとどめることだ」とアドバイスする。起きている時間が長いほど、「睡眠欲求」が高まるからだ。

 「私の人生で最大の楽しみを奪わないでください」。眠れないと訴えたある主婦の患者は、夕食後のテレビを見ながらソファでうつらうつらすることを習慣にしていた。そこで少し寝てしまう。その気持ちは分かる。でも、これでは床に就いてもなかなか眠れないだろう。

 食事は就寝する3時間前で、寝る前に照明を落とす。1時間前からパソコンやスマホはやらない。飲み物については、カフェインがあるものは避けたい。コーヒーや日本茶、炭酸飲料は駄目だ。たばこやアルコールも良くない。寝酒は寝る3~4時間前にとどめること。アルコールは分解されアセトアルデヒドという物質になる。アセトアルデヒドには覚醒作用があるからだ。 

 入浴にも少し気をつけたい。内村教授によれば、体が温まって体温がいったん上がり、その後に下がるときが最も眠りやすい。入浴は就寝する1時間くらい前がよい。40~42度くらいのぬるめの湯につかる。熱い湯は覚醒効果があるので避けたい。

 ◇睡眠薬は最少服用量に

 症状が重い患者に対して睡眠薬を処方する場合もある。しかし、睡眠薬の前に原則として生活習慣の改善を指導する。小説やテレビドラマでは睡眠薬が殺人の道具として使われるが、現在の睡眠薬では健康な人は100錠のんでも死ぬことはないとされる。ただ、長期に使用すると依存性が現れやすい。不眠や睡眠不足は、肥満や高血圧、糖尿病、心筋梗塞、アルツハイマー型認知症を招く恐れがある。患者によって投薬の必要はあるが、基本は最少容用量(服用量)に抑える。医師側としては増やすことは簡単だが、減らすことは容易ではない。

 内村教授によると、驚くような話がある。睡眠薬を友人などからもらっている患者がいるという。「その人、その人の症状に合った薬が良いのは当たり前だ。そもそも、高血圧や糖尿病の薬を他人からもらう人がいるだろうか」と、警告を発している。(鈴木豊)

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