一流に学ぶ 心臓カテーテルのトップランナー―三角和雄氏

(第2回)
「縁ある所に行くもんだ」
運命変えた受験、上京へ

 医学部に行くなら地元の大阪大学と決めていた。幼稚園から高校までの一貫校で友達が多く、入院した小児科の医師の出身大学でもあったからだ。コツコツ勉強する三角氏にとり、普段通りなら合格は難しいことではなかっただろう。ところが、受験1カ月前に右目が見えなくなる災難に見舞われた。

 「高校3年の終業式で、なんか見えにくいなあって。目をこすっても右眼に、墨を水に溶かしたような黒いものがあって、全然取れなくて。どんどん見えなくなり、家に帰って近所の眼科に行きました」

 眼底出血しており、医師から、すぐに入院して検査を受けた方がいいと言われた。「受験直前に入院なんかできるか」と別の眼科へ行くと、やはり眼底出血との診断。しかし原因は分からないと言われた。

 「強いて言えば、1カ月ぐらい前にサッカーでヘディングしたことくらいしか思い当たらなかったが、まず違うだろうと。血液検査も異常なく、痛みも何もない。本当に不思議なんですよ」。片目では試験問題を読むにも不自由で、計算スピードも落ちた。順当なら合格確実と言われた大阪大医学部の受験は、失敗に終わった。

 「自分より成績が下だった人も受かっていたのに、なんでこんなことになるのかと。でも今思えば、あのときの眼底出血がなければ、今の自分はなかったですね」

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一流に学ぶ 心臓カテーテルのトップランナー―三角和雄氏