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治療に向き合う心を支える 【第2回】ハンドラーの谷口めぐみさん

お互い心を許し合っているよう。穏やかな時間が流れる

お互い心を許し合っているよう。穏やかな時間が流れる

 ◇遊びをリハビリに、子どもの頑張り引き出す

 その後の抗がん剤治療では副作用で動けない日々が続きます。ほとんどの時間をベッドで過ごすと、体力、筋力がともに低下してしまうため、作業療法士によるリハビリが開始されましたが、体がだるく、やる気もなかなか起きません。

 そこで、作業療法士とアイデアを出し合いながらタイとの遊びを通して必要なリハビリが行えるような介入方法を一緒に考えました。それは、みかちゃんと作業療法士がマグネットタイプのダーツゲームで対決、的にくっついたダーツをタイが回収し、かごに戻すというゲームです。立ち続けること、ダーツを投げること、かごをタイの高さに合わせるためにかがむこと―。全てがみかちゃんにとって大事なリハビリでした。

 しかし、みかちゃんはリハビリだとは感じておらず、ゲームをただ楽しんでいるようでした。そして、タイもまた遊ぶことを楽しんでおり、みかちゃんとタイの双方にとって、とても有意義な時間になったと感じました。

 このように、他職種と連携しながら、必要な場面にタイが介入することで、子どもたちの頑張りをさらに引き出すことができると考えています。

 みかちゃんの治療は無事に終わり、今は外来通院で経過を見ています。ご両親は「タイくんは、入院中の子ども達にはもちろん、親の私たちにとっても本当に心強く、そばにいてくれるだけで大きなパワーをもらいました」と振り返っていました。

 みかちゃん一家はその後、ファシリティドッグのチャリティーに参加。先日の通院時にチャリティーTシャツを着用し「通院時のユニフォームです」と報告してくれました。

 ファシリティドッグが応援してきた患者さんたちが、今度は応援してくれる側になってくれることは感慨深く、うれしいです。地域の福祉祭りに出店した売り上げを全て寄付してくれた一家もいます。これからも患者さんやご家族に笑顔を届けられるよう、タイと二人三脚でサポートしていきます。(了)

谷口めぐみさん

谷口めぐみさん


 谷口めぐみ(たにぐち・めぐみ) ファシリティドッグ・ハンドラー。認定NPO法人シャイン・オン・キッズ所属、静岡県立こども病院勤務。11年泉佐野泉南医師会看護専門学校卒業、同年日本赤十字社大阪赤十字病院入職、18年同富山赤十字病院へ異動。21年認定NPO法人シャイン・オン・キッズ入職、静岡県立こども病院で活動開始。


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