こちら診察室 コロナ禍のスキンケア=手洗い、マスクによる肌のトラブル対策

マスクの着け方から洗い方、メーク法まで
~独自の工夫も紹介~(野村有子・野村皮膚科医院院長) 第5回

 マスクと皮膚の摩擦による肌トラブルも見逃してはなりません。マスクがこすれて(摩擦を起こして)赤くなったり、かゆくなったりする場合があります。摩擦の最も多い原因は、マスクの大きさが顔に合っていないために生じるズレです。摩擦を防ぐには、顔の大きさに合ったマスクを正しく着用することが大切です。

マスクは正しく着けてトラブル防止

マスクは正しく着けてトラブル防止

 ◇正しい着用法の順番を知る

 では、マスクの正しい着用法を順を追って整理しましょう。

 1.マスクを顔に当ててから、鼻の形に合わせて鼻からフィットさせます。その際に、プレートが入っているものは、隙間が空かないように形を整えましょう。

 2.ゴムひもを耳にかけます。

 3.鼻あてを抑えながら、顎に向かってマスクを広げて伸ばし、フィットさせます。

 4.頬の部分に隙間が空かないように軽く抑えます。

 この手順で正しくマスクを着用しても、その後にマスクの着け方を変えてしまっては元も子もありません。例えば、息をしやすいように鼻を出した「鼻出しマスク」。くしゃみなどで飛沫が拡散したり、ウイルスを鼻から吸い込んだりすることになってしまいます。

 さらに問題なのが、一時的にマスクを外さずに顎に引っ掛ける「顎マスク」。マスクから外に出ている皮膚に付着したウイルスなどの汚れをマスク内に取り込んでしまい、再びマスクで口や鼻を覆った時に、これらの汚れにより感染するリスクが高まるので、これもNGです。

 ◇マスクの外し方と保管法

 マスクを外す場合も注意が必要です。まずマスクのひもを持って外すこと。マスクの表面にはウイルスなどが付着している可能性があるので、絶対に触ってはなりません。食事の際などに外したマスクを再度使用する場合は、抗ウイルス加工が施されているマスク入れに入れて保管するのが理想的です。しかもこの場面でも、できる限りマスクの表面を触らないように気を付けて入れましょう。

 マスクを入れる物がない場合はどうするか。外したマスクをそのままポンと机やテーブルの上に置いたり、ポケットに入れたりしないように気を付けてください。ティッシュペーパーやハンカチの間に挟んで置いて下さい。捨てる場合も、一度ポリ袋に入れてポリ袋の口をしばってから捨てましょう。

 さらに、マスクを外した後にもやることがあります。マスクを捨てたら、必ず手や指のアルコール消毒をするか、手洗いに行きましょう。そして外したマスクを再度使用する場合は、マスクのひもを持ってマスクを装着すること。鼻と顎にマスクをフィットさせるためには、できる限りマスクの隅を持って調整しましょう。

東京・渋谷の交差点。ほとんどの人がマスク着用

東京・渋谷の交差点。ほとんどの人がマスク着用

 ◇マスク時代のメーク法

 今年の春、横浜港に停泊したクルーズ船で新型コロナウイルスへの感染が報道された直後から、私は常に抗ウイルス加工を施した布マスクを使用しています。布に口紅や化粧が付着してしまい、最初は使用した布マスクをきれいに洗うことができませんでした。

 そこで、まずマスクをする時のメークは、ウォータープルーフタイプの日焼け止めを下地替わりにし、その上にマットタイプでべたつかないリキッドファンデーションを塗り、軽くパウダーを乗せることにしました。その上で、頬と鼻、顎などマスクが当たる部分は、マスクをする前にティッシュで軽く抑えて、できる限りファンデーションがマスクに付かないようにしました。

 ポイントは眉毛とアイメークのみとし、頬紅と口紅は使用を控えました。そうすることで、布マスクの汚れは最小限にとどめることができたのです。

 ◇布マスクを正しく洗う

 布マスクの洗い方も工夫しました。厚生労働省と経済産業省が作成した「布製マスクの洗い方動画」を自分なりにアレンジし、汚れがきれいに落ちて、布と肌に優しい方法を身に付けることができたと自負しています。

 どんな方法かを、以下にまとめました。

 1.バケツに水1リットルを張り、その中に酵素系漂白剤5グラムを溶かしておきます。

 2.化粧品などの汚れが付着している部分に、泡状のせっけん(私はシャボン玉せっけんを使用)を乗せてなじませます。

 3.せっけんをなじませた布マスクをバケツに入れて、時々バケツを回しながらクルクルかき回し、10分間程度置きます。

 4.バケツの水を流し、布マスクだけを浅くて水を入れ替えやすい洗面器に移します。

 5.洗面器の水を2~3回入れ替えます。これは酵素系漂白剤が皮膚に付着すると荒れるので、まず、それを十分に落とすためです。

 6.水を流しながら布マスクを手で押し洗いをしてよくすすぎます。

 7.乾いたタオルの間にマスクを挟んで、パンパンと叩いて水気を取ります。木綿や絹の布は濡れて縮みやすくなっているので、上下左右に布を伸ばしてから挟みます。

 8.タオルからマスクを出し、布マスクの形を整えて日陰に干して乾かします。

 ◇風呂場でもできる

 入浴の前後に風呂場で洗う方法もあります。入浴前に1~3までを済ませ、入浴中は風呂の洗い場にバケツを置いておきます。入浴の最後に4~6を洗い場で行い、シャワーで洗い場をさっと流して終了。水の代わりにお湯を使うと、汚れ落ちがさらに良くなり、乾きも早くなります。マスクを清潔にきれいに保つことで、感染予防につながります。(了)

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