こちら診察室
生活の質(QOL)に直結する目の異常
▼連載の狙い
医学の進歩は目覚ましく、人類は多くの病気を克服してきました。それでも、なお解けない謎は際限なくあります。眼科学も御多分にもれず、治療や手術の進歩は顕著です。しかし、生活の中で視覚の役割は絶大なため、その不調は生活の不都合に直結します。
視覚の実現は目と脳の共同作業であることを前提に考える神経眼科、心療眼科を私は長く専門としてきました。通常の眼科治療や手術をしても不調、不満が残る方々を大勢診てきたのです。すると、一般の眼科学では捉えきれない問題がここに山積していること気付きます。
この連載では、眼科学の最新の進歩、「光」の部分を伝えるとともに、その裏側に潜む神経・心療眼科的問題、つまり「影」の部分にも注目します。そこを理解すると解ける問題が増えてくることを実感いただければ幸いです。
▼筆者略歴
1949年東京都生まれ。北里大学医学部卒業後、同大助教授などを経て2002年井上眼科院長、12年より井上眼科病院名誉院長。その間、日本神経眼科学会理事長などを歴任するとともに15年にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ、神経眼科領域の相談などに対応する。著書は「心をラクにすると目の不調が消えていく」(草思社)など多数。