三村治 医師 (みむらおさむ)

兵庫医科大学病院

兵庫県西宮市武庫川町1-1

  • 神経眼科治療学
  • 特任教授

眼科 神経内科

専門

弱視・斜視、神経眼科、小児眼科、眼瞼けいれん

三村治

三村治医師は、日本神経眼科学会による「眼瞼けいれん診療ガイドライン」「抗アクアポリン4 抗体陽性視神経炎診療ガイドライン」作成にあたり、委員長を務めた実績をもつ神経眼科のエキスパート。研究テーマは神経眼科学、弱視・斜視、特に麻痺性斜視の病態と治療。これに沿った基礎実験(視神経再生実験など)や大学倫理委員会を通した実験的治療(Leber遺伝性視神経症に対するイデベノン大量投与や甲状腺眼症に対するボツリヌス毒素治療など)を行う。患者のQuality of Vision(視覚の質)を高める眼科診療をめざし、日夜診療・研究に取り組んでいる。

診療内容

40代以上の女性に多く見られる眼瞼けいれん。その症状と診断に詳しい三村医師は次のように語る。「眼瞼けいれんは、まぶしいと訴える患者が9割以上を占める難治性の病気です。症状が高度になると目を開けていられなくなります。ただし、まぶしい・目が乾くといった症状はドライアイにも共通するので、ドライアイと誤診されることもあれば両方を併発することもあり、きちんとした診断が大切です」
“けいれん”と名がつくために、疲れから瞼がピクピクする症状(ミオキア)と勘違いされることも少なくないが、全く別のものなので注意したい。三村医師は、眼瞼けいれんの治療として「ボトックス療法が第一選択」と話す。
これは少量のボツリヌス製剤を目の周囲に注射し、筋肉を麻痺させて改善させる治療法である。注射1回の効果が3~4か月程度であるため、回復しない場合は繰り返しの治療が必要になる、つまり対症療法という訳だ。
「ボツリヌス菌といえば食中毒を起こす細菌として有名ですが、毒素を抽出して薬として用いることで症状を抑えることができます。現在、眼瞼けいれんや顔面けいれんに対する有効な薬物療法はこのボツリヌス注射だけで、私はこれが第一選択だと考えています。しかし残念なことにボトックス治療で改善する可能性のある患者が、ドライアイや、時には精神疾患として治療を受けることが多いのが眼瞼けいれん治療の現状です。これは大きな問題です」(三村医師)
同院では専門外来として「ボツリヌス外来」を設けている。患者数・再診率においては国内2位、西日本では最多とされ、全国から患者が来院する。同院ボツリヌス外来ではこれまで2,600例を超える症例に対してボツリヌス治療を行ってきた実績があり、約9割に対して有効とされる。大きな副作用はないが、稀にまぶたが閉じにくくなったり、下がりすぎたりするケースも見られる(いずれも1か月前後で改善する)。患者個々の状態に応じ、注射の量や方法などはテーラーメイドでの治療を心がけているという。
三村医師が眼瞼けいれんのエキスパートであることは、「眼瞼けいれん診療ガイドライン」作成時の委員長を務めた実績からも明らかであろう。本ガイドラインは2011年に日本神経眼科学会として発表されたもの。作成に関しては最終チェックまで三村医師自ら行ったという。本ガイドラインが眼瞼けいれん患者の早期発見と早期治療につながり、Quality of Vision(視覚の質)、Quality of Life(生命の質)改善の一助になることを願う三村医師。今後の治療の進歩に期待したい。

医師プロフィール

1975年3月 大阪医科大学 卒業
1982年 兵庫医科大学大学院修了
1983年1月 兵庫医科大学眼科講師
1989年11月 兵庫医科大学眼科助教授
1994~1995年 ドイツSaarland大学眼科客員教授
1998年 兵庫医科大学 眼科学教授
2016年より兵庫医科大学 神経眼科治療学教授を務める