恥骨・坐骨骨折〔ちこつ・ざこつこっせつ〕
恥骨や坐骨の骨折は、高齢者がしりもちをついたときにしばしば生じます。特に骨粗鬆症(こつそしょうしょう)により、骨がもろくなっている場合には軽い外傷でも生じます。恥骨だけの骨折や坐骨だけの骨折の場合もありますが、恥骨と坐骨両方の骨折の場合もあります。
痛みがある間は安静が必要ですが、ギプス固定などの特別な治療は不要で、可能なら早期から歩いても問題ありません。
骨粗鬆症がみられる場合は薬物療法をおこないます。
骨粗鬆症の程度やタイプ、年齢に応じた適切な薬が使用されます。おもな薬と作用機序を記載します。
1.骨が吸収されて減少するのを防ぐ薬(骨吸収抑制剤)
・ビスホスホネート薬:骨を吸収する細胞のはたらきを抑えて、骨を減少しにくくします。
・サーム:骨に対して女性ホルモンと同様に作用し、骨のカルシウムが体内に溶け出るのを抑えます。
・デノスマブ:骨の成分を溶かす体内のはたらきを抑え、骨を減少しにくくします。
2.骨をつくる薬(骨形成促進剤)
・副甲状腺ホルモン薬:骨の新陳代謝を促進し、新たな骨を強力につくる作用があります(毎日自分で注射する方法と1週間に1度注射する方法があります)。
・ロモソズマブ:骨形成促進作用と骨吸収抑制作用をともにもちます。骨折の危険性の高い骨粗鬆症に対し、月1回皮下注射します。
3.その他の薬
・カルシウム薬:骨量の減少を予防します。カルシウム摂取量の少ない場合に服用します。
・活性型ビタミンD3薬:腸管からのカルシウム吸収を助け、骨を強くします。
・ビタミンK2薬:骨がつくられるのを助けます。
転倒予防も大切で、下肢筋肉の強化、バランス能力の向上を目指す運動が有効です。室内の段差や暗さなど、高齢者の転倒につながる生活環境を改善することも必要です。転倒したときの大腿骨近位部骨折の予防として、衝撃吸収パッド(ヒッププロテクター)が開発されています。
痛みがある間は安静が必要ですが、ギプス固定などの特別な治療は不要で、可能なら早期から歩いても問題ありません。
骨粗鬆症がみられる場合は薬物療法をおこないます。
骨粗鬆症の程度やタイプ、年齢に応じた適切な薬が使用されます。おもな薬と作用機序を記載します。
1.骨が吸収されて減少するのを防ぐ薬(骨吸収抑制剤)
・ビスホスホネート薬:骨を吸収する細胞のはたらきを抑えて、骨を減少しにくくします。
・サーム:骨に対して女性ホルモンと同様に作用し、骨のカルシウムが体内に溶け出るのを抑えます。
・デノスマブ:骨の成分を溶かす体内のはたらきを抑え、骨を減少しにくくします。
2.骨をつくる薬(骨形成促進剤)
・副甲状腺ホルモン薬:骨の新陳代謝を促進し、新たな骨を強力につくる作用があります(毎日自分で注射する方法と1週間に1度注射する方法があります)。
・ロモソズマブ:骨形成促進作用と骨吸収抑制作用をともにもちます。骨折の危険性の高い骨粗鬆症に対し、月1回皮下注射します。
3.その他の薬
・カルシウム薬:骨量の減少を予防します。カルシウム摂取量の少ない場合に服用します。
・活性型ビタミンD3薬:腸管からのカルシウム吸収を助け、骨を強くします。
・ビタミンK2薬:骨がつくられるのを助けます。
転倒予防も大切で、下肢筋肉の強化、バランス能力の向上を目指す運動が有効です。室内の段差や暗さなど、高齢者の転倒につながる生活環境を改善することも必要です。転倒したときの大腿骨近位部骨折の予防として、衝撃吸収パッド(ヒッププロテクター)が開発されています。
(執筆・監修:日本赤十字社医療センター脊椎整形外科 顧問 久野木 順一)