翼状肩甲骨〔よくじょうけんこうこつ〕
肩甲骨が背中側に浮き上がるようにでっぱる状態のことを指します。腕をもち上げるときに腕の重さを肩甲骨が支えますが、肩甲骨を胸郭に固定する力が弱い場合には、腕の重さのために肩甲骨が胸郭から浮き上がってしまい、ちょうど翼のように肩甲骨の下の部分がもち上がることから、翼状肩甲骨と呼ばれます。肩甲骨を胸郭(肋骨)に安定化するためにはたらく前鋸筋が弱くなる長胸神経まひや肩甲骨を内側へ引き寄せるはたらきがある僧帽筋が弱くなる副神経まひのときに腕を上げようとすると肩甲骨の浮き上がりがみられます。まひ以外にも、肩関節拘縮(こうしゅく)の一部や、正常でもうまく筋の力を抜くことで随意的に肩甲骨を浮き上がらせることができる場合もあります。
(執筆・監修:東京都立広尾病院 院長 田尻 康人)