閉塞性動脈硬化症(ASO)〔へいそくせいどうみゃくこうかしょう(えーえすおー)〕 家庭の医学

[症状]
 50歳以上の男性に多い病気です。悪化すると足指の一部に壊死(えし)が起こることがあります。最近では、ASOを末梢動脈疾患(PAD)と同義にとらえることが多くなっています。
 はじめ、つまった血管のある足が冷たくなり、歩くと痛み、しばらく休むとおさまる“間欠性跛行(かんけつせいはこう)”を呈し、さらに進むと、その足が白くなったり、チアノーゼが出たりして、足の脈拍が触れにくくなります。最終的には栄養がわるくなり、くさってきます(脱疽〈だっそ〉)。
 この状態では静かにしていても痛みが起こります。すこしの傷も治りにくく、また脱毛や爪の変形が起こります。病気の進行がとまると、ほかの血管からわき道(側副血行路〈そくふくけっこうろ〉)が通じて、またよくなることもあります。診断は上下肢血圧比(ABI)でもおこなえます。動脈硬化性の末梢動脈閉塞では虚血性心疾患を合併することが多いので、心臓の検査を受ける必要があります。症状がどの段階まで進んでいるかのめやすとして、フォンテイン分類(Ⅰ~Ⅳ度)がよく使われます。


[治療]
 症状が軽いうちは痛みが中等度になるまで、指導のもとに下肢の運動をおこなうことによって側副血行路ができるようにつとめます。薬物療法もおこないます。
 薬物療法のみで満足できる改善が得られるのは軽症の場合のみで、間欠性跛行で患者の潰瘍、壊死が合併している場合などには、血管内治療や血管バイパス術を受けることになります。ADL(日常生活動作)やQOLが制限されているときや、薬物療法のみで症状が改善せず、安静時にも疼痛(とうつう)などの阻血症状がある場合などには、血流の状態を検査したうえで、血行再建術を検討します。壊死が進んでいる場合は足肢の切断を余儀なくされます。
 手術療法以外、あるいはそれに並行して、血管を収縮させる交換神経をブロックしたり、カテーテルによってバルーンでひろげたり、ステントを入れたりすることもあります。

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