毎日の基本的なケア

 介護は、日常生活を援助することになりますから、療養者の生活リズムをできるだけいままでどおり続けられるようにします。

■洗面・身だしなみ
 朝の洗面は、気分がすっきりするだけでなく、顔と口腔(こうくう)内の清潔を維持するためにも大切な行為です。口腔内は、細菌が繁殖しやすいので、なにもしないと、むし歯や舌苔(ぜったい)ができたり、口臭がひどくなったりします。また、口内炎や肺炎を誘引することもあります。
 洗面は、できるだけからだを起こしておこないます。療養者自身ができる部分は、時間がかかっても、自分でやってもらいましょう。大切なリハビリにもなります。自力でできない部分は手伝うようにします。
 朝は忙しい時間帯ですから、家事やほかの家族との関係も考えながら、ケアをおこないましょう。

■歯みがき・口腔ケア
 衣服がぬれたり、汚れたりしないよう、襟もとから胸もとにかけて、タオルや撥水(はっすい)性のあるエプロンを当てておきます。
 歯をみがくときは、ふつうに歯ブラシに歯みがきをつけて、みがきます。電動歯ブラシは、手がうまく動かせなくても、持ちやすく、力がうまく入らなくても、ブラッシングがしやすく便利です。

・入れ歯…入れ歯は、はずしてから歯をみがくように歯みがきをつけてみがきます。口は、ぬるま湯ですすぎます。食後も食べものが入れ歯と口腔(こうくう)内の間にはさまることがあるので、はずしてからうがいをします。はずした入れ歯は、きれいに洗います。寝る前は、必ず入れ歯をはずし、コップなどにきれいな水を入れてつけておきます。入れ歯洗浄剤もあります。

□口をすすぐことができない場合
 口をすすぐことができない場合は、介護者が口腔内の清潔に特に気を配ります。たとえ、口から食事をとることができなくても、細菌は繁殖します。毎日必ず、口腔内のケアを実施します。

・必要な物品…水歯みがき、歯ブラシ、綿棒(市販のものは小さいので、割りばしに脱脂綿を巻きつけたものを使う)、スポンジスワブ(使い捨てのスワブで、口腔内を清拭〈せいしき〉できる)、ガーゼ、タオル

 水歯みがきは使用法に従い、適量を水に入れます。水歯みがきのほかに、唾液の分泌をうながす作用があるレモン汁を入れた水、あるいは、たんぱく質を分解するはたらきがある、2%の重曹水でもよいでしょう。むせることがないように、顔を横に向けてから(まひがある場合はまひ側が上になるように)、歯ブラシに水歯みがきをひたし、歯をみがきます。
 綿棒に水歯みがきをひたし、ほおの内側、みがき残した歯、舌の上をきれいにふきます。脱脂綿は汚れたら巻き替えるようにします。
 くちびるが乾燥しているときは、リップクリームやワセリンを塗るとよいでしょう。

■洗面
 あたためたハンドタオルに、せっけんをすこしだけつけて、ひたい、鼻の頭、ほお、耳のうしろ、くびすじをふきます。別のあたたかいタオルで、顔、くびすじのせっけんをよくふきとります。肌が乾燥している場合は化粧水や乳液を好みに応じてつけます。
 男性の場合、ひげそりは洗面時にいっしょにおこないます。

■手洗い
 洗面器にお湯を入れ、せっけんで手洗いをします。手洗いがむずかしい場合は、洗面のときと同様に、せっけんをつけたタオルでふいてから、せっけんをふきとります。手洗いは、朝だけでなく、できれば食事の前後や手に汗をかいているときなどにもおこない、清潔が保てるようにします。1日に何度も手洗いをするのはたいへんです。市販のウエットティッシュを枕元に置いて、ときどき、手ふきに使ってもいいでしょう。

■整髪
 洗面がすんだら、髪をきれいにとかします。気分的にもさっぱりします。髪が短ければ熱いタオルで頭全体をふくと、とても気持ちがいいものです。ベッド上の生活では、髪を頻繁に洗えないので、ときどきドライシャンプーや、ガーゼにひたした50%のアルコールで、頭皮をマッサージするようにふきます。

■身だしなみ
 寝巻きや寝具をととのえます。女性の場合は、本人が望めば薄く化粧をしてもよいでしょう。
横浜市立大学医学部医学科同窓会 倶進会