からだのあたためかた・冷やしかた 家庭の医学

 あたためたり、冷やしたりする方法を罨法(あんぽう)と呼びます。からだの一部に、温熱刺激、あるいは、寒冷刺激を与えて、循環器系や神経系、あるいは、筋肉組織に作用させる方法です。熱が高いときには冷やして安楽にしたり、痛みのある部分を湿布して、苦痛をやわらげたりします。

■あたためる方法
 あたためる方法には、湯たんぽ、電気あんか、カイロ(使い捨てのカイロも含む)、電気毛布などを用いる方法があります。
 保温や安楽にするために用いますが、注意することは、あんかや湯たんぽは長時間直接肌に触れると、低温でもやけどをすることがありますから、からだから10cmくらい離して当てます。
 使い捨てのカイロは便利です。おなかがはって苦しいときなども、肌着の上から当てるとガスが膨張し、腸の動きを増し、排ガスをうながす効果があります。ただし、薄い肌着の上にカイロを貼ったり、腰にカイロを当ててその上にもたれたりして、そのまま長時間過ごすとやけどをすることがあるので注意しましょう。

■冷やす方法
 冷やすには、氷枕、あるいは冷却枕、氷嚢(ひょうのう)、冷湿布などを用います。発熱時に、氷枕や氷嚢を頭部に用いても体温は下がりませんが、局所の皮膚温を下げて、気持ちよさを与え、頭痛をやわらげる効果があります。
 体温を下げるときは、さむけがなければ上掛けを薄くしたり、ぬるめのお湯でからだ全体をふく方法が適しています。

□氷枕
 最近は、冷却枕を使用することが多くなりました。冷凍庫で凍らせても、かたくならないものが使いやすいようです。

1.氷の角が気になる場合は、氷をざるに入れ、水をかけて角をとります。

2.氷枕に2分の1から3分の2まで氷を入れ、コップ1~2杯の水を入れます。

3.氷枕の中から空気を出すため、氷枕の口もとまで水を出し、氷枕を押さえて空気を出し、留め金でとめます。

4.逆さにしても、水が漏れないことを確かめ、乾いたタオルで氷枕の外側をふき、中の氷を安定させ、バスタオルなどにくるんで当てます。このとき肩を冷やさないように気をつけます。

□冷却シート
 ひたいの部分に貼る使い捨てのシートで、市販されています。種類は大人用から子ども用までさまざまあります。

(執筆・監修:聖路加国際大学大学院看護学研究科 准教授〔在宅看護学〕 竹森 志穂)