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食中毒でも発熱があると…  
コロナ感染を疑われる

 梅雨の間に最高気温35度以上の猛暑日を記録する地域が出ており、今年は厳しい暑さの夏が予想される。そんな中で懸念されるのが食中毒だが、新型コロナウイルス感染症の拡大で例年と異なる対応が求められている。食中毒でも発熱症状があると新型コロナの疑いを持たれるほか、料理のテークアウト需要の高まりが食中毒の頻発につながりかねない。

病原性大腸菌O(オー)157の電子顕微鏡写真=東京都立衛生研究所提供

 ◇シーツから感染も

 夏に注意が必要な食中毒について、聖マリアンナ医科大学病院(川崎市)感染制御部部長の竹村弘教授(微生物学)は「『O(オー)157』に代表される腸管出血性大腸菌とカンピロバクター菌などの細菌による食中毒」と指摘する。

 基本的には、これらの細菌に汚染された食べ物を口にし、腸内で細菌が増殖して毒素を放出、下痢だけでなく腸管内の出血による血便や発熱などを引き起こすのが発病のメカニズムだ。しかし、腸管出血性大腸菌の場合は「少ない菌量でも体内に入れば発病させてしまうほど感染力は強い」と竹村教授は警戒を呼び掛ける。

 さらに、「食べ物だけでなく、患者の排せつ物内の菌がトイレなどにある洗面台の蛇口やドアノブに付着、これを触った手を介して口に入って感染した事例、シーツや下着に付着した菌が洗濯を介して拡大してしまった事例もある」と注意を喚起する。

 ◇発熱症状があると…

竹村弘教授

 竹村教授は、トイレ内で手が触れる場所の消毒の徹底や、患者の衣服を洗濯前に熱湯で消毒するようアドバイス。また、「大腸菌などは消毒用アルコールが有効。新型コロナウイルスと同様に手洗いや手指の消毒を心がければ、環境からの感染は防ぐことができる」と話している。

 細菌が体内に入ってから食中毒を発病するまでの時間は、最短で12時間程度。比較的潜伏期間が長いもので、腸管出血性大腸菌では3~4日、カンピロバクターでは1週間ほどかかることもあり、「なかなか原因となった食材を特定できないこともある」。こうした中で発熱症状があると、新型コロナ感染を念頭に置く必要が出てくる。

 医療機関を受診する際に腹痛や下痢、嘔吐(おうと)など消化器症状だけなら「食中毒の疑い」として対応してもらえる。しかし、「発熱」があると発熱外来などに回される可能性がある。こうした事態を避けるため、竹村教授は「同じ料理を食べた人が同様の症状を訴えているなど、食中毒の可能性を受診前に医療機関に電話で伝えておくことも考えてほしい」という。

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