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頭痛や腹痛は「心のSOS」
~夏休み・2学期、子どもに注意~

 夏休みの終わりから2学期初めにかけて、子どものメンタル面に対するケアの必要性が強調されている。大人でも自覚できることが少ないメンタル面の不調を、子どもたちは周囲に訴えることも、助けを求めることもできないでいることが多い。国立成育医療研究センター(東京)は、「メンタル面での問題を抱える子どもの中には、腹痛や頭痛など身体面での不調を訴える場合がある。周囲の大人が、このような段階で手を差し伸べることができれば、早期に対処できる可能性がある」と呼び掛けている。

メンタルの不調が心配なときの相談先リスト=国立成育医療研究センター提供

メンタルの不調が心配なときの相談先リスト=国立成育医療研究センター提供

 同センターが2021年12月に実施した、新型コロナウイルス感染拡大の影響調査によると、小学校5年から中学3年までの20~30%が頭痛や腹痛などの身体的な不調を「週に1回以上感じる」と回答。さらに、不調を感じている子どもに詳しく聴いたところ、腹痛を訴えている子どもの73%、頭痛の子どもの67%が抑うつ状態にあると推定できる状態だった。

 調査と分析に当たった、小児科医で同センター社会医学研究部の石塚一枝医師研究員は、「子どもにとってメンタル面の不調を自覚したり、周囲に伝えたりすることが難しく、頭痛や腹痛などの身体的不調と受け止める傾向にあることは以前から指摘されていた」と説明。その上で、「長い夏休みの終了前や2学期の初めの時期に、週1回以上、継続的な頭痛や腹痛を訴えている子どもさんは注意が必要」と訴えている。

 ただ、腹痛や頭痛が続くからといって、全ての子どもが抑うつ状態にあるわけではない。暑気あたりや夏風邪の可能性もあるので、まずは、かかりつけの小児科医などの診断を受けて、身体的な原因の有無を確認することが第一だ。同時に、食欲が落ちていないか、普段楽しんでいるゲームなどをしなくなっているかなど、日常生活の変化を周囲の大人が観察しながら、「『何か困ったことがあるのではないか』などと子どもに声を掛けることから始めてほしい」、と石塚研究員は助言している。

 「どの子どもにも起こり得ることなので、不調が続く場合はスクールカウンセラーに相談したり、かかりつけ医を通じたりして、児童精神科の専門医の診察を受けてほしい」と強調している。 (喜多壮太郎)

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