治療・予防

甲状腺ホルモンの過剰分泌=バセドー病は根気強く治療を

 甲状腺は、喉仏の下辺りに位置するチョウが羽を広げたような形をした臓器で、代謝や胎児の発育に関係するホルモンを分泌している。「バセドー病」は、体の中に甲状腺を刺激する抗体ができ、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気だ。横浜関内わだクリニック(横浜市)の和田修幸院長は「治療は長期にわたるため、定期的な受診や治療へのモチベーションを維持することが大切です」と語る。

 ◇目が突出する場合も

 バセドー病で甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、代謝が高まり、動悸(どうき)や息切れ、不眠といった症状が起こり、気分的にいらいらして怒りっぽくなる。食べているのに痩せてくるという症状も起こるが、食事内容によっては逆にカロリー過多で太る場合もあるという。

 女性に多い病気で、目が突出する場合もあり、若い人から高齢者まで幅広い年代で発症する。和田院長は「特に15歳未満での発症はまれなため、発見が遅れがちになります。高齢者の場合は、悪性腫瘍や心臓疾患を疑われたりすることも多々あります」と指摘し、注意を呼び掛ける。

 何らかの原因で、甲状腺を刺激するTRAbやTSAbといった抗体が体内にでき、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで発症する。同じ甲状腺ホルモンが不足する橋本病とは表裏一体の関係で、時を経て移行することもあるという。

 血液検査と超音波でほとんどの場合は診断が付くが、よく似た他の甲状腺機能高進の病気と見分けるために、放射性ヨウ素を使ったシンチグラフィー検査で甲状腺機能を測定する場合もある。

 ◇薬や放射線で治療

 治療の第1選択は服薬で、メルカゾール(商品名)やプロパジール(同)といった薬で甲状腺ホルモンの過剰分泌を抑制する。服薬期間は年単位に及ぶことも多く、和田院長によると、患者自身の服薬への取り組みや定期的な受診が、より良い治療には非常に重要だという。発疹や関節炎、肝機能障害や白血球減少などの副作用で服薬が継続できない場合は、放射線治療や外科的治療に切り替えていく。

 バセドー病は未治療でいると、心房細動という不整脈を招くことがあり、血栓ができやすくなる。感染症を併発して重症化すると、甲状腺クリーゼと呼ばれる状態に陥り死亡することもあり、女性では骨粗しょう症の進行や不妊の原因にもなる。和田院長は「発症を防ぐ方法は今のところ無いので、疑わしい症状がある場合は甲状腺疾患の専門医に相談してほしい」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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