マダニによるウイルス感染症=重症化して死亡したケースも
屋内のカーペットやベッドなどに潜み、皮膚をかむダニ。屋外にいるマダニの中には感染症を媒介し、重篤な症状を引き起こすものもおり、マダニの生息地域では、季節にかかわらず常にかまれる恐れがある。予防法と対処法について、ヤマザキ学園大学(東京都八王子市)の内田明彦教授(獣医学博士)に聞いた。
◇マダニ媒介の感染症
ダニ類は屋内外に存在するが、山林にいるマダニの中には、寄生した動物が持つウイルスを媒介し、人に感染させるものがいる。マダニにかまれたことに気が付かないままウイルスに感染し、発熱や頭痛などの症状から重症化して死に至るケースもある。
日本では、国内で見つかったリケッチアという病原体がマダニを媒介して人に感染する「日本紅斑熱」が30年以上前に報告されている。「近年、新しいウイルスの感染症として死亡率の高い「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」が報告され、マダニが媒介する感染症が再びクローズアップされています」と、内田教授は警鐘を鳴らす。
2016年8月には、北海道でマダニにかまれた40代の男性がフラビウイルスに感染し、ダニ媒介脳炎で死亡した例が国内で初めて報告された。こうした背景には、ウイルスを持つイノシシやシカなどマダニが寄生する野生動物の増加がある。内田教授は「野生動物が餌を求めて、寄生したマダニとともに人里に下りてくるようになり、人への感染例が増えているのです」と指摘する。
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(2017/07/24 23:36)