ネイルケアによる皮膚トラブル
~除光液で手湿疹も(池袋西口病院 船坂陽子医師)~
手に赤みやぶつぶつ、水疱(すいほう)、皮むけなどが生じる手湿疹。症状が軽い手荒れが進行した状態で、ひどくなるとひび割れができ、かゆみや出血を伴う。ネイルケア関連の発症も報告されている。池袋西口病院(東京都豊島区)の船坂陽子医師に皮膚トラブルの原因や治療法、予防策を教えてもらった。

手湿疹
◇早めの治療が肝心
人気のジェルネイルは、合成樹脂でできたカラー剤を爪に塗り、紫外線(UV)ライトや発光ダイオード(LED)を当てて硬化させる。ただし、硬化が不十分なジェルが爪の周囲に付着すると、皮膚トラブルを起こすことがある。マニキュアやジェルネイルを落とすアセトン入り除光液にも注意が必要だ。
ネイルや除光液は、皮膚炎やアレルギー反応を起こす可能性がある化学物質。特に強い脱脂作用があるアセトンを使用した部分の皮膚は乾燥しやすく、「手に付着するとバリアー機能が低下し、手湿疹を起こす人がいます」。除光液を浸したコットンを持つ手の肌荒れ、かゆみが出る可能性もある。
「手の角層は分厚く、丈夫にできていますが、強い刺激にさらし続けると手や爪の周りが赤くなり、かゆみや小さな水疱が表れることも。発症すると治りにくいため、早めの治療が重要です」
◇保湿ケアで乾燥予防
適切な対処をせずに症状が慢性化すると、皮膚に黒ずみや痕が残る場合がある。炎症抑制効果のあるステロイド外用剤を用い、治し切ることが大切だ。「かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬の内服を併用することもあります」。原因や症状によって処方薬は変わるため、皮膚科専門医の受診が推奨される。
ステロイド外用薬を使っても改善しない場合は、他の病気の可能性がある。免疫機能が落ちた手や指にカンジタ菌が繁殖し、カンジタ性爪囲(そうい)炎になるケースも。爪の周囲が赤くなり、皮膚がふやけて腫れる病気で、手湿疹と間違えやすい。
手湿疹の予防は「刺激を避け、乾燥を防ぐこと。ネイルケアの頻度や、手の洗い過ぎにも注意してください。手を洗ったら、こまめに保湿クリームを塗り、バリアー機能を回復させましょう」と船坂医師は助言する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2025/02/27 05:00)
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