Dr.純子のメディカルサロン

多彩な分野で活躍 ラスカウスキーさんに聞く


  ラスカウスキー それでようやく、純子さんの質問の「脳の異なるところを使っている」ということですが、全くその通りだと思います。特にプログラミングをしたり、絵を描いたりしていると、何日も没頭することができて、別の作業に切り替えるのに時間がかかります。逆に、英語・日本語の場合は、常にどちらにでも瞬時に変えられるように、脳の回転を良くする練習を行っています。映画やユーチューブを倍速で聞いたり、わざと早口で話をしたり遅くしたり、色々試しています。

 私はバイリンガルのレベルで両言語を話していると思いますが、バイリンガルは認知症になる年齢が比較的遅いという研究結果があるようなので、やはり脳の使い方が違うのでしょうね。


 海原 すごく落ち込むことなどあるのですか。ストレスからのリジリエンスは、どのようにしているのでしょうか。私はテルミさんが落ち込んでいる顔を見たことがないですし、落ち込んだ話も聞いたことがないので。

つらいときほどアイデアが出る

 ラスカウスキー 人生の中には、失恋したり、両親を亡くしたり、いろいろ悲しいこともたくさんあります。悲しかったり、腹が立ったりはしますが、そんなに長くは続かず、すごく落ち込んだことは覚えていません。

 私は、人生はつらいだけとは思いません。でも人生は虹色でハッピーだけとも思いません。軍や警察の仕事をしていると、とても過酷で残虐な面もこの世の中にあることは目の当たりにするので、こういう人生観を持つようになったのかもしれないですね。

 最近、米国ではミレニアル世代(2000年以降に社会人になった世代)の自殺率の上昇が問題視されています。これに関して語る人たちの中には、現実的ではない人生像を社会に期待し、現実と期待に大きなギャップが生じることで、生きていくことに意味がないとみなしているのでは、という説があります。いわゆるカオスに対しての対応力が欠けている、レジリエンスに欠けているのだと思います。

 私が最近読んだ本、カナダ・トロント大学教授で、臨床心理学者のジョーダン・ピーターソン氏が書いた「この過酷な現実を生きる12のルール」では、「人生は過酷。でも生きがいはある。現実に幸せだけを求めると落胆してしまう。生きがいを求めれば、つらい状況でも乗り越えられる」と言っています。私的にはこれに納得しています。

 最後に、私がストレスを感じているときに何をするかですが、立ちすくまず、常に前進しています。最近さまざまな健康ダイエットなどに興味を持っています。特にうちのわんこたちに手作りで栄養のある食べ物をあげるため、犬の栄養や食べさせる頻度などを研究しています。その時に、断食の時の身体の対応の仕組みに出会い、目からうろこでした。

 ちゃんと食べないとエネルギーも無くなって身体に悪い、という人もいますが、実際はエネルギーに関しては違っているようです。要するに、動物に食を耐えるようなストレスを与えると、食べ物を探すために一生懸命になって、逆にエネルギーに満ちてくるみたいです。



メディカルサロン