「死に至る可能性も」と警鐘
便秘大国日本の実態
近年、新薬が認可されて治療の選択肢が広がり、慢性便秘症の診療ガイドラインが昨年初めて制定された。同ガイドラインの制作に携わった横浜市立大学大学院医学研究科の中島淳教授(肝胆膵消化器)を講師に招いたセミナーが都内で開かれ、中島教授は医師の側も含めた「便秘大国日本」の現状に警鐘を鳴らした。
◇80代は1割が便秘
そんな便秘を軽く見る向きも多いが、「便秘は寿命を縮める」との報告が出ている。
◇心臓発作の要因に
便秘の有無による生存率を米国で15年間にわたって比較した研究によると、生存率に約10%の差が出たものもある。往年のロックスター、エルビス・プレスリーはトイレで心臓発作を起こして42歳で亡くなったとされるが、「便秘だったため、トイレで過度にいきんだのが心臓発作の要因だったと報じられている」
◇広がる選択肢
では、便秘薬の実態はどうか。
日本で服用されている便秘薬の98%は、酸化マグネシウムとセンナなど植物由来の刺激性下剤。いずれも薬局で医師の処方箋がなくても購入できる。酸化マグネシウムは塩類の濃度を高めて浸透圧により水分を腸内に送り、便を柔らかくする。日本で古くから使われているが、高齢者や腎機能に問題のある人は慎重に使用する必要がある。
刺激性下剤は、大腸の蠕動(ぜんどう)運動を促して排便を促す。「効果が強く、紀元前からある薬で切れ味がよいが、ほとんどが下痢になる。よい薬だが、薬剤耐性があり、あくまで困ったときに短期的に使うもの。毎日使うと使う量が増え、最終的に依存症になり、大腸を手術で取る必要が出てくる」
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(2018/09/14 14:57)