治療・予防

冬に多い心筋梗塞
発作2時間以内の治療がカギ

 突然、胸や肩、背中が猛烈に痛み、冷や汗や吐き気、呼吸困難などを伴う心筋梗塞は突然死につながる深刻な病気だ。国立循環器病研究センター病院(大阪府吹田市)心臓血管内科部門の安田聡副院長に聞いた。

 ▽動脈硬化が原因

 心臓の筋肉に血液を送っている冠動脈が動脈硬化を起こすと、血管が狭くなり、血液の通りが悪くなる。こうした状態のまま体を動かすと、心臓を動かす血液が不足し、胸の痛みや圧迫感などを感じるのが狭心症だ。この狭心症の症状は5~10分ほどで消える。

胸に強い痛み感じたら、すぐ救急車を

 しかし、血液不足で心臓の筋肉が壊死(えし)する心筋梗塞にまでなると、激しい痛みが30分以上続く。壊死した範囲が広がり心機能が低下すると、最悪の場合、死に至る。不整脈を引き起こしたり、脳に血が送られなくなったりして、意識を失い、そのまま死亡することもある。

 安田副院長は「心筋梗塞が冬に多いのは、寒くなると血管が収縮し、血圧が上がりやすくなるためです。血圧が高くなるほど血管への負担が増えます。屋内でも暖かい部屋から寒い浴室や脱衣所に移動することで血圧が急に変化し、突然死につながることもあります」とヒートショックの恐ろしさを強調する。

 ▽診断後は直ちに手術

 心筋梗塞は心電図と血液検査で診断する。心筋梗塞と診断されたら、心臓への血流を回復させるため「経皮的冠動脈形成術」を行う。この治療では太ももなどの動脈から「カテーテル」と呼ばれる細い管を通し、冠動脈のふさがった部分に送り込んだ風船(バルーン)を膨らませて血管を広げる。バルーンだけでは十分広がらない場合には、金属でできた網目状の筒(ステント)を入れ、内側から補強する。

 退院後は再発予防のため、抗血栓薬や降圧薬、コレステロールを下げる薬などを服用する。

 安田副院長は「発症して2時間以内に冠動脈の血流を再開できれば、壊死を起こす範囲が小さく済みます。心臓に後遺症を残すことなく社会復帰も可能です。突然に猛烈な胸の痛みを感じたら、迷わず救急車を呼んでください」と話す。

 心筋梗塞は予防が大切だ。禁煙、塩分・糖分・脂肪分を控えた食事、定期的な運動習慣などを心掛けたい。「特に心筋梗塞を発症した親族がいる場合は、発症の確率が高いため予防に努めてほしい」と安田副院長は呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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