一流に学ぶ 減量手術のパイオニア―笠間和典医師

(第9回)
肥満症は「自業自得でなく病気」
術後は長期フォローが必要

 食べ過ぎや運動不足に加えて、遺伝的な体質も肥満を招く原因だ。「自業自得ではありません。節制できないことも含めて肥満症という病気なんです」と笠間和典氏は捉える。

 欧米に比べると日本人は高度肥満者が少ないが、より低い体格指数(BMI)でも糖尿病になりやすいことが分かっている。このため肥満の定義も、欧米ではBMI30以上なのだが日本ではBMI25以上と、より厳しい。

「アジア人は欧米人に比べてインスリンの分泌量が少ないので、肥満症になると膵臓(すいぞう)の機能が早いうちから低下して、インスリンが出づらくなります。日本人は欧米人ほど太っていなくても肥満の影響を受けやすいのです」

 肥満に生活習慣病を合併したり、そのリスクが高かったりする場合、肥満症と診断され、肥満外来などで食事や運動を中心とした生活習慣の改善指導が行われている。

 「高度肥満に対しては、内科的治療を行っても9割はリバウンドしますから、もっと減量手術が広まるべきだと思います」

 四谷メディカルキューブで減量手術の検討対象となるのは、BMI30以上(保険診療はBMI35以上)で尿病や高血圧など肥満に関連する合併症のある場合。2日間にわたって入念な検査を行い、減量手術の適応になるかどうかを見極める。

 「がんなど早く手術しないと命の危険がある病気と違って、肥満症に対する減量手術は、肥満を解消して合併症を改善させるための手術ですから、すぐに命に関わるわけではない。手術するかどうかの適応は慎重に判断します」。もちろん、胃は切り取れば元に戻らない。簡単な手術ではなく、他の手術と同様、重篤な合併症などさまざまなリスクもある。

入院期間は2~5日。手術を受ければ、生活習慣を改善せずに楽に痩せられるというわけではなく、術後は長期的なフォローが不可欠だ。

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