兼平孝 歯科医師 (かねひらたかし)

北海道大学病院

北海道札幌市北区北十四条西5丁目

  • 歯科診療センター予防歯科 口臭専門外来
  • 准教授

歯科 歯科口腔外科

専門

予防歯科学、口腔衛生学、栄養学

兼平孝

北海道の口臭臨床に従事する専門医。同外来では、年間500名の外来患者を診察する。官能検査(直接、臭いを嗅ぐこと)や口臭測定器(オーラルクロマ)で口臭を測定、診断を行う。実際に口臭がある場合には、その原因を探り、原因を除去または軽減する処置や指導を行っている。具体的には、一番多い原因である口腔乾燥症への対処(舌苔の除去などの口腔粘膜ケア、粘膜の保湿方法や唾液分泌の改善方法の指導など)である。また、重度の口腔乾燥症や他の疾患が疑われる場合は、同院の専門医を紹介するなど、あらゆる面から口臭臨床に取り組んでいる。

診療内容

「口が臭いので人と会うのがいや」「外出したくない」。口臭のせいで引っ込み思案になり、行動を制限してしまう人は少なくない。それほど本人にとって口臭は深刻な悩みである。
「口臭というのは、肺から排出された空気(呼気)が口から外に出るときの息のにおいです。呼気が無臭でも、口の中に問題があれば息は臭くなります。原因として考えられるのは、口腔乾燥症や重度の歯周病、口の中の不潔などです。一方、はじめから呼気がにおえば、喫煙や内臓など全身的な背景が原因となります。過去10数年の当院の口臭外来の受診者3,000人のうち、実際に口臭のあった人のほとんどは口の中に問題があり、そのうち7割以上は中高年の女性で口腔乾燥症が原因でした」と兼平歯科医師は話す。
口腔乾燥症で口臭が発生するのは、唾液の減少で口の中の自浄作用が低下し、細菌の作り出す悪臭物質が滞留しやすくなるためである。中でも舌表面に白く付着する舌苔は悪臭発生の源となる。
「口腔乾燥症の原因は複雑で有効な対策はすぐには見つかりません。そのため短時間で除臭効果の出やすい対症療法的な処置が中心となります。口臭の原因である舌苔を取り除くことを中心に、正しい口腔粘膜ケアの方法や口の中の粘膜の保湿方法、唾液分泌の改善方法を指導し、比較的長時間効果の期待できるスプレーや洗口剤を勧めます。シェーグレン症候群などの病気が疑われる場合など、必要に応じて当院の口腔乾燥症の専門医へ紹介することもあります」と兼平歯科医師は言う。また、頻度としては少ないが、歯石や虫歯、歯周病が原因と思われる時はその処置を行う。また、喉の奥の扁桃という免疫組織に現れる膿栓が口臭の原因となることもある。「くしゃみや咳をしたときに喉の奥から飛び出してくる、乳白色の小さな塊が膿栓ですが、ドブ川のヘドロのような悪臭がします。できやすさには個人差があるようで、口呼吸の習慣や体質が関係していると考えられています。これが明らかに口臭の原因の場合や膿栓がたまることで喉に違和感が続くようなら、耳鼻咽喉科の先生に相談するとよいでしょう」(兼平歯科医師)
本人は口臭で悩んでいるのに、実はほとんど臭っていないというケースもある。これは自己口臭症(自臭症)と呼ばれ、対人恐怖症のひとつと考えられている。「そんなときは、口臭測定器の客観的なデータを示したりして、心配は要らないと伝えるようにしています。大部分の方はそれで胸のつかえがとれ、毎日が楽しくなったと感謝されることも少なくありません」と兼平歯科医師。まれではあるが、精神的要因が大きい場合は、家族の同意を得た上で、心療内科や精神神経科の受診を勧めるケースもある。
「どれほど綿密に検査してみても、どこにも問題が見つからないのに息が臭うということもあり、対応に苦慮することもありますが、患者さんにさわやかな息を取り戻してもらうべく、日々努力しています」と兼平歯科医師は話している。

医師プロフィール

1985年3月 北海道大学歯学部 卒業
1985年4月 同予防歯科学講座入局
1987年1月 同予防歯科学講座助手
1993年3月 歯学博士
1994年4月 北海道大学歯学部附属病院講師
1997年3月 文部省在外研究員として渡米(オレゴン健康科学大学歯学部、ノースキャロライナ大学歯学部)
1998年4月 北海道大学歯学部附属病院 保存系歯科B診療室(予防専門外来)外来医長
2000年12月 口臭専門外来を兼務
2003年10月 医学部附属病院と歯学部附属病院の統合に伴い、北海道大学病院歯科診療センター講師に所属変更
2016年4月 北海道大学大学院歯学研究院准教授