相澤義房 医師 (あいざわよしふさ)

立川綜合病院

新潟県長岡市上条町字谷内561-1

  • 循環器科
  • 部長

循環器科 内科

専門

不整脈、狭心症、心筋梗塞、心不全などの循環器疾患全般

相澤義房

不整脈・突然死の治療、研究におけるスペシャリスト。原因不明の突然死をきたす特発性心室細動について世界に先駆けて心電図の特徴に注目し報告した。これは最近になって世界的な共同研究で確認され、その研究にも共同研究者として名を連ねている。また自身特発性心室細動例を20年以上に渡って集め、当初から注目していた心電図の特徴的なJ波について、国の内外の研究者とも共同研究が続いている。 不整脈の心臓電気生理検査やカテーテルアブレーションについての世界初の報告もある。
新潟県中越地震直後に起きた突然死にストレスから生じた「たこつぼ心筋症」が関連することを、同センターを中心にまとめて発表するなど、患者の環境に着目した臨床研究に携わってきたことで知られる。
市民講座やセミナーで突然死予防の注意を喚起する講演に加え、心電図の読み解きを若手の医師へ指導、育成に心がけている。
これまでに、日本循環器学会などによる「心臓突然死の予知と予防法のガイドライン」では班長を務めた他、不整脈の検査や治療のガイドラインなど、不整脈の検査や治療に関するガイドラインの班員とし、現在はこれらの評価委員として参加している。

診療内容

不整脈はその名の通り、心臓と脈のリズムが不規則になるものを言う。例え脈が規則正しいとしても100回/分を超えたり(頻脈)、あるいは反対に60回/分を下回る場合(除脈)も不整脈として扱われる。加齢とともにまた心臓に疾患があると、不整脈は多くなる。不整脈は正常でもしばしば見られるが、「重要なのは不整脈があるかないかではありません。また、心拍が多いか少ないかでもなく、生命に危険をもたらすか、心機能を悪化させる状態(心不全など)であるかどうかがカギになります。つまり、放っておいても差し支えない不整脈と、治療が必要な不整脈があり、多く(90%以上)はすぐに治療しなければならない訳ではありません」と相澤医師は述べる。
原則として治療の必要がない不整脈の代表は「期外収縮」と呼ばれるもので、これは一定したリズムの心拍(心臓の拍動でこれを動脈で触れる場合が脈と呼ばれる)以外に、1ないし数拍早く打ち、このため心臓が飛ぶ感じがしたり、胸が詰まった感じなどをきたす。しかし、相当に多く出現しても、直ちに生命に別状ないので治療を必要としない。時にめまいや息苦しいなど不快感が強く、日常生活の質が悪くなる例では、期外収縮でも治療することがある。この様に生命に別状のない期外収縮でも、これが1日に何万回と出現すると、心臓の働きは悪くなり、心不全をきたすことがある。この場合呼吸困難、息切れ、むくみなどの症状をきたし、レントゲンや心臓超音波検査で心臓が拡大してくる。このような場合は治療は必要となり、カテーテルアブレーションなどで不整脈の源を断つと心臓の働きも完全に元の状態に改善する。
一方、危険な不整脈とは「直接的に生命を脅かす不整脈」、重症不整脈は「血圧の低下や持続すると心不全などの重篤な状態を招くもの」である。心房細動も不整脈としては良性のものであるが、しかしそれがあることで脳梗塞の引き金となるものもあります」と相澤医師は述べる。
悪い不整脈のサインとして、めまい、失神や意識消失は重要で、「この様な症状はあったら、不整脈によるものは突然死の危険があります。安易に自分で判断しないで、不整脈によるかどうかの見極めのために、専門医にかかることが大切です」(相澤医師)
このため相澤医師は「心電図を見れば、異常があるかどうか、治療が必要かどうかがわかる」と語る心電図のエキスパートである。症状が気になったらまずは近隣の病院を受診し、心電図をとってみることが推奨される。心電図は狭心症、心筋梗塞、心筋症などの診断にも極めて有用な検査であり、心電図で気になる点があれば専門医へかかることは当然だが、症状がなくとも健康診断や人間ドックなどでの心電図をとる機会をつくることも肝要だ。
不整脈の最大のデメリットは、心室細動による突然死をきたすことで、年間5万人ほどの人が突然死している。多くは心筋梗塞や心不全など心臓病がある例に発生するが、5-10%に心臓病がないのに起きる場合がある。そうした症例でも、わずかであるが特徴的な心電図所見を示す例があることが知られ、その一つがブルガダ(Brugada)症候群、もう一つが先に述べた特発性心室細動である。この様な危険な例をどう早期に診断するからは大きな問題となる。一方、健康診断時の心電図でもこれらの僅かな心電図異常はしばしば見られることがわかっており、健診の現場を混乱させている。わずかな心電図の所見を手がかりに、はたしてそれが突然死するような不整脈に結びつくかどうか、専門医に判断してもらうことが重要だ。心室細動というかっては救命できなかった不整脈も、植え込み式の除細動器といった治療があるという。
心室細動で倒れた人を目撃した場合、一般市民による心臓マッサージとAEDの使用で救命された例が見られるようになってきた。救急隊員の活躍に加え、市民による救命例が確実に増えていると言える。
突然死や不整脈に関連する治療のガイドラインの多くは、このような不整脈による最悪のシナリオに対する有効な治療手段をどう選択するかといった内容を含んでいる。
大地震のようなストレスは心臓血管系に大きな変化をもたらす。相澤医師は地元新潟で起きた中越地震の直後、ストレスが原因で生じる心臓病「たこつぼ心筋症」が被災地の高齢女性に目立つことを調査したことでも知られる。たこつぼ心筋症とは、血液が心臓から送り出される時に左心室の先端部が収縮できず膨れたままになるため「たこつぼ」の形に見えることから命名された、日本人によって発見された病気である。胸の痛みや違和感・圧迫感、息苦しさや咳などが出現するが、多くはストレスが前面に出て心臓の症状は軽い。心筋梗塞に比べて痛みも少ない。心筋梗塞でないことを確認して後、入院などにより安静を保てば殆どの例でそれ以上悪化せず治るとされる。「以前から大地震では突然死や心筋梗塞が増えることが知られていましたが、突然死の中にたこつぼ心筋症が含まれる可能性があり、また心筋梗塞とされた例の中にたこつぼ心筋症例が含まれていた可能性があります。災害時の救命行為や医療行為は最も重要ですが、各専門分野から見てどのような異常が被災者に発生しているかを明らかにしていくという使命も忘れてはなりません」(相澤医師)
現在、相澤医師は同院研究開発部の長としての役割を担う。自らの職務に対し「我々は大切な多くの症例を託されており、その治療経験や成績を世に問い、報告していくことも期待されているという観点から、その機運を盛り上げる立場だと心得ています」と語る。「良い臨床研究は、良い臨床の実践なくしてあり得ませんし、その延長線上にあります。無論、臨床研究の名のもとに患者さんの治療がおろそかになる愚はあってはなりません。また、日常臨床の些細な所見でも、疑問があればそれを問題として考え続けると、やがて新しい展開に役立つことがあります。iPS細胞のような大発見を治療現場でいち早く受けとめるために、現在の不完全な治療を克服したいという願望を抱き続けることが重要と思っています」(相澤医師)

医師プロフィール

1972年3月 新潟大学医学部 卒業
1982~1983年 米国ワシントン大学留学
1995年 新潟大学医学部第1内科助教授
1996年 新潟大学医学部第1内科教授
2001年 新潟大学大学院医歯学総合研究科教授
2011年より現職(新潟大学名誉教授を兼任)

「不整脈」を専門とする医師