杉谷巌 医師 (すぎたにいわお)

日本医科大学付属病院

東京都文京区千駄木1-1-5

  • 内分泌外科
  • 部長

内分泌外科 外科

専門

甲状腺・副甲状腺の外科。特に甲状腺がんの診療(微小がんから進行がんまで)

杉谷巌

近年、別の病気の精密検査や健康診断を受けたときに甲状腺がんが偶然発見されるケースが増えている。しかし、日本人の少なくとも10人に1人は甲状腺がんを知らず知らずのうちに持っており、その多くは小さな乳頭がんであることが分かっている。見つかるのが「低リスク微小乳頭がん」(大きさが1cm以下で転移・浸潤がないがん)であれば、手術しないで経過観察とすることも可能だ。杉谷医師はこうした甲状腺がんの種類やリスクを見極めることに注力し、長年にわたり甲状腺がんの診断・治療にあたってきた。
「手術をしないと聞くと、患者さんはショックを受けたり、大丈夫なのかと心配されたりします。でも、これまでのエビデンスが示すところによると、低リスク微小乳頭がんなら、最初のうちは少し大きくなるとしても、年齢とともに横ばいになっていきます。甲状腺がんにおいては、高リスクか低リスクか、あるいは超低リスクなのかを見極めて治療を進めることが重要です」(杉谷医師)
高リスクの場合はもちろん、微小がんでもリンパ節転移がある場合や1cmを超える低リスク乳頭がんには手術を行う。手術の合併症には甲状腺機能低下、反回神経麻痺、副甲状腺機能低下などがある。通常は頸部を切開する手術となるが、腫瘍が小さく転移・浸潤がない場合は内視鏡補助下頸部手術(VANS法)も可能で、同院は国内トップクラス、900例を超える実績を持つ。内視鏡手術は頸部に傷がつかないメリットがあり、合併症の発生率や入院期間については、通常の手術と変わらないため、特に若年の女性に勧められる。
診療方針の決定にあたって、杉谷医師はインフォームド・デシジョン(十分な説明に基づく患者さんの意思に基づく決定)を重視しているという。「患者さんに治療の選択肢を説明して話し合い、ご本人が十分納得した上で治療法を決めていきます。最善の治療方針は患者さんの病気についての理解と、ご本人の自由な意思によって決まるので気軽にご相談ください」(杉谷医師)
杉谷医師は、微小乳頭がんの非手術経過観察だけでなく、進行がんの切除手術、分子標的薬による治療、予後の悪い未分化がんの集学的治療手術などにも対応。甲状腺がんのほか、バセドウ病や橋本病、亜急性甲状腺炎など、甲状腺疾患全般を診療する。NPO法人キャンサーネットジャパンで講演を行うなど、甲状腺がんに関する情報発信にも注力している。

診療を受けるには

原則予約制。診療情報提供書がない場合は予約できないため、かかりつけ医の診療情報提供書を用意した上で予約すること。初診で紹介状がない場合は、会計時に保険外併用療養費が診察料とは別に必要となる。地域医療機関からの紹介の場合はFAXで予約する。
杉谷医師の外来は、月曜の午前・午後、木曜の午前。

医師プロフィール

1989年 東京大学医学部医学科卒業
1992年 東京大学医学部第二外科入局
1993年 癌研究会附属病院(現がん研有明病院)乳腺外科
1994年 同頭頸科
2006年 同科副部長
2013年 日本医科大学外科学(内分泌外科学)准教授
2014年 日本医科大学大学院医学研究科内分泌外科学分野大学院教授、日本医科大学付属病院内分泌外科部長

【受賞】 日本内分泌外科学会賞(2012年)

所属学会

<資格>
日本外科学会専門医・指導医、内分泌外科専門医、日本甲状腺学会専門医、がん治療認定医

<役職等>
日本内分泌外科学会副理事長・理事・評議員、日本甲状腺学会理事・評議員、日本内分泌学会評議員、日本臨床外科学会評議員、日本小切開・鏡視外科学会理事、アジア内分泌外科学会(AsAES)Advisory Committee、アジアオセアニア甲状腺学会(AOTA)理事、国際内分泌外科学会(IAES)会員、米国内分泌学会(TES)会員、米国甲状腺学会(ATA)会員、米国内分泌外科学会(AAES)会員、万国外科学会会員、甲状腺未分化癌研究コンソーシアム代表世話人、日本内分泌外科学会 甲状腺癌取扱い規約委員長/甲状腺微小癌取扱い委員長、日本甲状腺学会 臨床重要課題 甲状腺微小乳頭癌取扱いのポジション・ペーパー作成委員長

主な著書

『甲状腺がんなんて怖くない―専門医が本音で語る甲状腺の病気のすべて』(2003年 三省堂 )
「DVD:甲状腺癌の基本手術―合併症のない甲状腺全摘術のために」NTS2006
「内分泌外科標準手術アトラス 改訂版」インターメルク2003
「内分泌外科標準テキスト」医学書院2006
「内分泌外科の要点と盲点 第2版」文光堂2007
「頭頸部手術カラ―アトラス」永井書店2009
「甲状腺腫瘍診療ガイドライン2010年版」金原出版2010
「甲状腺結節取扱い診療ガイドライン2013」南江堂2013
「多発性内分泌腫瘍症診療ガイドブック」金原出版2013
「癌の遺伝診療」南江堂2015
「今日の治療指針 2016」医学書院2016
「甲状腺専門医ガイドブック」診断と治療社2016
「がん薬物療法現場のルール」南江堂2016
「甲状腺疾患診療実践マニュアル第4版」文光堂2016
「Thyroid Cancer and Nuclear Accidents: Long-Term Aftereffects of Chernobyl and Fukushima」Academic Press, Elsevier 2017
「WHO Classification of Tumours of Endocrine Organs, 4th Edition」WHO Press 2017

医師発信欄

「キャンサーチャンネル」(以下すべて動画)
・甲状腺がんの最新の診断と治療 “アクティブ・サーベイランスから分子標的薬まで”
http://www.cancerchannel.jp/post30179
・甲状腺がん~甲状腺がんの最新の診断と治療について~
http://www.cancerchannel.jp/post32928
・甲状腺がんの診断と治療
http://www.cancerchannel.jp/post26945
(更新日:2021年5月25日)