医師の紹介
診療内容
同院では、年間の手術数は原発性乳がん約600例、他の良性の乳腺疾患が約100例と国内有数の豊富な手術症例を誇り、原発性乳がん症例の約60%に対して乳房温存手術を行っているという。ただし、乳管内に広く進展するタイプのがんについては、広がる範囲が広いため切除を余儀なくされるケースもある。津川医師は「その際は人工乳房や自家組織(お腹・背中の脂肪など)を用いて新たに乳房をつくる乳房再建術も同時に行われるようになってきました」と語る。さらに、乳房切除(全切除)の場合であっても同時再建に力を入れている(即時乳房再建)。女性にとって乳房は特別な存在であるだけに、たとえ温存できないとしても、すぐに再建できるという喜びは大きいだろう。また、脇の下のリンパ節も、一昔前ではまるごと取り去る「腋窩リンパ節郭清術」が広く行われていたが、現在は「センチネルリンパ節生検」が主流となっているという。同術の普及により、転移がないことが確認できればそれ以上はリンパ節を取らなくなっているのが現在の方法だ。手術前・後の薬物療法も積極的に行われる。
津川医師は自らのウェブサイトにおいて次のように発信する。「落ち着いて、信頼できる相談相手と協力して、信頼できる医療チームにご相談ください」。こう述べるとおり、津川医師が目指すのは「患者を中心としたチーム医療」だ。同院の附属研究所であるブレスト&イメージング先端医療センター、放射線科(診断)と連携して検査を行い、切除範囲決定の正確性を高める。また、腫瘍内科や放射線科(治療)と連携した集学的がん治療を行う。最近では、遺伝性・家族性乳がんに関する「乳がん遺伝相談外来」、妊孕性温存を目標にした「がん生殖医療(生殖医療センターとの協同)」にも力を入れている。もちろん乳がんを予防できれば理想的だが、その点について津川医師はやはり早期発見が肝要だと話す。「乳がんは今すぐにあなたの命を奪う病気ではありません。早期発見、早期治療で、機能や形態を温存した治療、そして何よりも大切な命を乳がんから守ることができるのです」
医師プロフィール
1987~1997年 金沢大学医学部附属病院第2外科(一般・消化器外科研修)
1993年 金沢大学大学院医学研究科博士課程卒業
1995~1997年 通産省工業技術院生命工学研究所で科学技術特別研究員
1997~2005年 金沢大学医学部附属病院第2外科助手(乳腺内分泌外科担当)
1999年 英国ノッティンガム市立病院短期研修
2004年 米国テキサス州MDアンダーソンがんセンター短期留学
2005年 聖路加国際病院ブレストセンター乳腺外科(現在は非常勤嘱託医)
2010年9月 聖マリアンナ医科大学乳腺・内分泌外科教授
「乳がん」を専門とする医師
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岩田広治 医師 (いわたひろじ)
愛知県がんセンター中央病院
乳腺科部 副院長 部長
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大内憲明 医師 (おおうちのりあき)
登米市立登米市民病院
乳腺外科 事業管理者
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大住省三 医師 (おおすみしょうぞう)
国立病院機構 四国がんセンター
乳腺・内分泌外科 乳腺外科
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大野真司 医師 (おおのしんじ)
がん研有明病院
乳腺センター 副院長 センター長
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川端英孝 医師 (かわばたひでたか)
虎の門病院
乳腺・内分泌外科 部長
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紅林淳一 医師 (くればやしじゅんいち)
川崎医科大学附属病院
乳腺甲状腺外科 部長、教授
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武井寛幸 医師 (たけいひろゆき)
日本医科大学付属病院
乳腺科 部長
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戸井雅和 医師 (といまさかず)
京都大学医学部附属病院
乳腺外科 教授
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中村清吾 医師 (なかむらせいご)
昭和大学病院
ブレストセンター センター長
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矢形寛 医師 (やがたひろし)
埼玉医科大学総合医療センター
ブレストケア科(乳腺科) 教授
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山下啓子 医師 (やましたひろこ)
北海道大学病院
乳腺外科 科長、教授