食道憩室〔しょくどうけいしつ〕 家庭の医学

 食道壁がふくろ状に外に向かって飛び出したものです。
 食道壁が周囲の炎症反応でひっぱられて飛び出したり(牽引〈けんいん〉性憩室)、食道内圧がなんらかの原因で高くなって外に圧出(内圧性憩室)されてできたりします。よくみられる部位は、頸(けい)部食道(ツェンカー憩室)や中下部食道(横隔膜上憩室)です。内圧性憩室は徐々に大きくなり、憩室の中に食物がとどまって炎症を起こし、出血したり通過障害になることがあります。症状があれば手術をおこないます。頸部食道憩室では憩室を切除して、輪状咽頭筋を切開し、食道の内圧が異常に上昇しないようにします。横隔膜上憩室では、胸腔(きょうくう)鏡下に憩室を切除して下部食道昇圧帯を構成する下部食道筋層に切開を加えます。



(執筆・監修:順天堂大学 名誉教授〔食道胃外科〕 鶴丸 昌彦)
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