食道裂孔ヘルニア(横隔膜ヘルニア)〔しょくどうれっこうへるにあ(おうかくまくへるにあ)〕 家庭の医学

 横隔膜は胸腔(きょうくう)と腹腔(ふくくう)の間にある膜状の筋肉で、呼吸運動に大きな役割を果たしています。その横隔膜を貫く臓器の一つが食道です。食道が通る孔(あな)を食道裂孔といいます。
 胸腔内は呼吸によって陰圧に、腹腔内は腹圧がかかって陽圧になります。食道裂孔が大きくなったり、筋肉がゆるむと、胃の一部や胃全体が胸腔内に入り込みます。この状態を食道裂孔へルニアといい、滑脱(かつだつ)型、傍食道(ぼうしょくどう)型、混合型の3種類があります。

 食道裂孔へルニアでは食道胃接合部の逆流防止機構がはたらかず、胃の内容物が逆流し、逆流性食道炎が起こりやすくなります。この症状が強い場合は、手術で修復します。胸腔内に飛び出した腹部食道と胃を腹腔内に戻し、飛び出さないように胃を固定し、広がった食道裂孔を縫縮します。この手術も腹腔鏡下による手術が可能です。

(執筆・監修:順天堂大学 特任教授〔食道胃外科〕 鶴丸 昌彦)
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