肝臓・胆道の検査

 一般的な検査とならんで、肝臓機能の検査がおこなわれます。肝臓のはたらきは多種多様であるため、検査法も多種多様となります。

■アルブミン、グロブリンの測定
 たんぱく代謝に関する検査法で、血中にあるアルブミンをはかります。肝臓に障害があれば、アルブミン量が減り、グロブリン、特にガンマグロブリンがふえます。

■血清膠質反応
 血清にチモール、硫酸亜鉛などの試薬を加えると、肝臓病の場合は健康な人の場合よりも、沈殿しやすいことを応用したものです。慢性肝炎の診断に役立ちます。

■プロトロンビン時間の測定
 プロトロンビンは、血液凝固に非常に大切なはたらきをするたんぱく質ですが、肝臓でしかつくられません。したがって、肝臓が強く障害されると、プロトロンビンのできかたが少なくなって、血液が凝固しにくくなります。

■コレステロールの測定
 脂質代謝をみるもので、肝臓に障害のある場合は低下します。

■血清中の酵素の測定
 肝臓はいろいろな物質代謝を円滑におこなうために、多くの種類の酵素を肝細胞の中にもっています。もし、肝細胞が一度にたくさんこわされると、含まれている酵素類が流れ出て、血中の酵素量がふえてきます。特に肝臓に多くて、ほかの臓器にあまりないという酵素をはかります。
 ここでは、おもな酵素の測定について説明します。
□トランスアミナーゼ
 AST(GOT)とALT(GPT)の2種類があります。ASTは正常人では10~40単位ですが、肝炎の急性期には100~2000単位にもなります。もう1つのALTは肝臓以外にはあまり含まれていませんから、ASTよりも肝臓病の診断に役立つ検査であるということができます。正常値は5~40単位です。
□乳酸脱水素酵素(LDH)
 急性肝炎のときにも上昇しますが、肝がん、胆道がん、転移性肝がんのとき、いちじるしくふえます。溶血でも高値となります。
□アルカリホスファターゼ(ALP)
 肝臓の障害よりもむしろ、胆汁の流れがわるくなったときに、血中に多量に出てきます。
□ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)
 肝がん、膵(すい)がんなどで、胆汁の流れる胆道の閉塞を伴うとき、高値を示します。心筋梗塞のときにも上昇します。
□コリンエステラーゼ(ChE)
 これによって肝細胞の障害がわかり、また肝硬変の進行度を決めるのに役立ちます。
□ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTまたはγ-GTP)
 胆道がん、膵頭部がん、胆石症などで高値を示します。また慢性肝炎のうちでは、急にわるくなると高い値を示すことから、慢性肝炎の経過をみるうえで診断的価値があるといわれています。特にアルコール性肝障害に敏感に反応します。

■HB抗原・抗体
 B型肝炎ウイルスと密接な関係があり、HB抗原が血中にあることは、肝炎ウイルスが血中にあることと同じ意味に考えられています。この検査は肝炎がウイルスによるものか、まだウイルスが血中や肝臓の中に残っているかなどを知るためにおこなわれます。c抗原・抗体、e抗原・抗体も血中ウイルス量と関係が深いとされています。

■HC抗体
 C型肝炎ウイルスは、直接抗原を検出するのが困難なため抗体を検出します。HC抗体はC型肝炎ウイルスが血中に存在するのと同じ意味に考えられています。

■HBHCウイルスのPCR(ポリメラーゼ・チェーン・リアクション)
 B型やC型肝炎のウイルスの核酸(DNA・RNA)を増幅して血液中にウイルスがあるかないか、また、ある場合はどのくらいの量があるのかもわかります。

■α-フェトプロテイン
 胎生期に生じるたんぱく質で、健康な大人の血中にはないのですが、肝がんの患者の80%くらいに見つかります。このたんぱくがあれば、肝がんあるいは肝芽腫(かんがしゅ)を強く疑いますが、肝硬変でも軽度に上昇することがあります。また、最近はα-フェトプロテインをさらにこまかく分類してみることで(L3分画)、肝がんの診断がさらに正確になりました。

■PIVKA(ピブカ)-Ⅱ
 血液凝固因子のプロトロンビンの前駆体で、肝がんでは60%くらいの患者が陽性になります。α-フェトプロテインが検出されない肝がんでも検出され、重症の肝障害がなければ肝がん以外でPIVKA-Ⅱが陽性に出ることはほとんどないので、特異性(ほかの病気や症状ではあまりみられない特徴的な性質)の高いたんぱく質です。

■超音波(エコー)検査
 超音波をからだに当て、音響インピーダンスの差によって起こる反射波で内部構造を映像化して診断する方法です。からだは音響的に性質の異なる組織でつくられており、超音波束を入射すると、組織によって、いろいろな強さの反射波を得ることができ、臓器や病巣のかたちがあきらかになります。
 ふつう、空腹時(できれば朝食をとる前がよい)に皮膚表面にゼリーを塗り、超音波が体内に入りやすいようにし、からだの断面を断層的に描き出します。なんの苦痛もなく、外来で簡単にできます。
 肝がん、肝嚢胞(かんのうほう)、胆石、閉塞性黄疸などの診断に用いられます。肝生検や経皮経肝胆管ドレナージ法などの針を刺すガイドにも応用されます。

■CT(コンピュータ断層撮影)検査
 CTというのはcomputed tomographyの頭文字をとったもので、肝臓を含むからだの輪切りともいうべき横断面を映し出し、断層撮影して診断します。
 CTの特徴は、画質のよい断層像が得られることで、単純X線撮影や断層撮影にくらべてコントラストが高く、わずかなX線吸収の差も見分けることが可能で、肝がんをはじめさまざまな病変を診断するのに役立ちます。

■MRI(磁気共鳴画像法)
 磁気共鳴現象を利用して、CTと同様にからだの断層像を映し出し、診断に役立てるものです。MRIは肝腫瘍の質的診断とともに、脈管の描出性にも優れています。

■内視鏡的逆行性胆管膵管造影法
 口から飲み込んだ十二指腸ファイバースコープの先端からチューブを出して、胆管が十二指腸に開口するところに挿入します。経口的・経静脈性胆道撮影法とは逆に、胆汁の流れにさからって、胆管に造影剤を注入して、胆道や胆嚢(たんのう)の病変、さらに膵管を映しますので、膵臓の病変も診断することができます。
 しかし、現在は胆管や膵管の拡張は、超音波(エコー)、CT、MRIで診断できるので、主として閉塞を解除するためにステントチューブやメタリックステント(金属の網目状になったチューブ)を挿入して治療をするためにおこなわれます。

■肝血管造影法
 X線による血管撮影です。血管に造影剤を入れて撮影しますと、血流の多い腫瘍を写し出すことができます。現在は、腫瘍を検出する目的ではおこなわれておらず、動脈化学塞栓術(TACE)と呼ばれる、血流の多い腫瘍を治療(塞栓)するためにおこなわれています。

■経皮経肝胆管造影法
 肝臓の中や外の胆管の状態を知るためにおこなう検査です。超音波画像を見ながら、肝臓に直接針を刺して、胆管に造影剤を注入し、Ⅹ線画像を撮って調べます。黄疸(おうだん)の種類を知ることができ、また、“閉塞性黄疸”であれば、部位、原因までわかります。しかし、この方法も診断目的では、超音波(エコー)、CT、MRIに取って代わられました。経皮経肝的に胆汁をからだの外に出す目的で、現在はおこなわれています。
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