妊娠中の危険な徴候 家庭の医学

 妊娠中は場所と時間にかかわらず、異常が起こる可能性があります。母子手帳と健康保険証を常に携帯していればあわてずにすみます。また、夫や家族と連絡がとれるようにしておきましょう。

■性器出血
 妊娠中、性器出血はまったくないことが正常で、少量でもあれば危険な徴候と考えます。鮮血でないから安心とはいえず、茶褐色や黒色でも出血なのです。出産のときの「産徴(おしるし)」を除いては、すぐ病院・医院に連絡をとって受診しましょう。場合によっては心配ないこともありますが、自分では判断ができませんし、医師も実際に診察しないと診断ができないのです。
 妊娠初期なら、流産異所性妊娠(子宮外妊娠)、中期以後なら流早産、前置胎盤常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)などの病気が考えられます。

■下腹痛
 妊娠初期から重苦しい感じやチクチクする感じは誰にでもあるものです。ただし、強い痛みや性器出血などほかの症状が伴うときは、すぐ診察を受けましょう。病気としては流早産、異所性妊娠、常位胎盤早期剥離のほか、重症便秘、虫垂炎(盲腸炎)尿路結石など、内科の病気も考えられます。まず産婦人科を受診してから他科へ紹介してもらうのがよいでしょう。

■破水感
 破水というのは羊水や胎児をおおう膜が破れて、腟(ちつ)から生あたたかい水が流れ出てくることです。破水であれば流早産につながる可能性が高いので、緊急に入院が必要です。出産の時期になっている場合でも、すぐ入院してください。

■その他
 高熱、強い頭痛や嘔吐(おうと)、めまい、強い口渇感など、ふだんとは異なった症状が出た場合は、病院・医院に連絡してください。

(執筆・監修:恩賜財団 母子愛育会総合母子保健センター 愛育病院 産婦人科 部長 竹田 善治)
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