スペイン・Universitat Pompeu FabraのAna Giménez-Arnau氏らは、抗ヒスタミン薬に抵抗性を示す慢性特発性蕁麻疹(CSU)の成人患者における経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬rilzabrutinibの有効性と安全性を第Ⅱ相試験RILECSUで検討。その結果、rilzabrutinib 400mgの1日3回投与(1,200mg/日投与)により12週時点の蕁麻疹活動性、瘙痒、膨疹のスコアが有意に改善したとJAMA Dermatol2025年4月23日オンライン版)に発表した(関連記事「抗ヒスタミン薬抵抗性の蕁麻疹への一手は?」)。

オマリズマブ未使用の中等症~重症患者で検討

 RILECSU試験は、12週間の二重盲検プラセボ対照用量設定試験と40週間の非盲検継続投与試験で構成され、対象は抗ヒスタミン薬で症状の改善が得られない中等症~重症CSU〔週間蕁麻疹活動性スコア(UAS7)16点以上、週間瘙痒重症度スコア(ISS7)8点以上〕の成人患者。日本を含む12カ国・51施設で160例(平均年齢44.1歳、女性70.0%)を登録し、rilzabrutinib 400mgの1日1回夜投与群(400mg/日群、38例)、同薬1日2回投与群(800mg/日群、41例)、同薬1日3回投与群(1,200mg/日群、41例)、プラセボ群(40例)に1:1:1:1でランダムに割り付けて治療した。

 主要評価項目は12週時点におけるISS7またはUAS7のベースラインからの変化量とし、オマリズマブ未使用の143例を解析に組み入れた。

1,200mg/日投与で1週時の早期から有意な改善

 解析の結果、プラセボ群と比べ、rilzabrutinib 1,200mg/日群では12週時点におけるベースラインからの改善度がISS7〔最小二乗平均(LSM)-9.21点 vs. -5.77点、プラセボ群とのLSM差-3.44点、95%CI -6.25~-0.62点〕、UAS7(同-16.89点 vs. -10.14点、-6.75点、-12.23~-1.26点)のいずれでも有意に大きかった(いずれもP=0.02)。

 さらに、12週時点における週間膨疹重症度スコア(HSS7)のベースラインからの改善度も有意に大きく(LSM -7.64点 vs. -4.40点、LSM差-3.24点、95%CI -6.08~-0.39点、P=0.03)、週間血管浮腫活動スコア(AAS7)の改善も認められた。ISS7、UAS7、HSS7、AAS7の有意な改善は1週時点の早期から確認された。

主な有害事象は下痢、悪心、頭痛

 安全性の評価では、rilzabrutinib 800mg/日群と1,200mg/日群で発現率が最も高かった治療関連有害事象(TEAE)は下痢(800mg/日群、1,200mg/日群ともに29.3%)、次いで悪心(同17.1%、19.5%)、頭痛(同14.6%、9.8%)の順だった。これらの大部分は軽度で、重度の報告はなかった。また、他のBTK阻害薬で報告されている血球減少症、出血心房細動は認められなかった。

 以上の結果から、Giménez-Arnau氏らは「rilzabrutinibはリスク・ベネフィットプロファイルが良好で、抗ヒスタミン薬で効果不十分な中等症~重症CSU患者に対する有効な治療薬になる可能性が示された。長期の有効性と安全性を検討するために、さらなる研究が必要である」と結論している。

医学翻訳者/執筆者・太田敦子