インタビュー

冬に備え病床・医師の確保を-東邦大・舘田教授
~最悪の事態を想定して第6波へ備え~

 新型コロナウイルスの新規感染者数は減少傾向が強まっており、緊急事態宣言の解除が見通されるようになった。しかし、全国各地のコロナ病床は依然として厳しい使用状況が続いており、ウイルスの活動が再び活発化する冬季に向けて、準備すべき課題は多い。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会メンバーである東邦大学の舘田一博教授(感染症)は、急ぐべき対策として病床と医療従事者の確保を力説する。

患者に酸素投与や抗体カクテル療法を提供する東京都の酸素ステーション(運用前の2021年8月21日公開撮影)

 「今回の流行で入院患者の多くを占めた40~50代に対しては全力での医療対応が求められることもあり、いったん重症化してしまった場合には、退院まで長期間がかかり、病床の回転率を悪化させた」。舘田教授はコロナ第5波をこう振り返る。

 感染者が医療機関の受け入れ能力を超えたため、多くの感染者が自宅での療養を強いられた。このため、仮設医療機関設置の必要性も指摘された。舘田教授は「収容ベッド数の確保や治療に当たるスタッフの調整には時間がかかる。特にコロナ病棟には感染対策およびコロナの治療に精通した医師や看護師が必要だが、流行期には、そのような人材を迅速に確保することが難しい。患者が減少した今のうちに次の波に備えた病床および人材確保を考えておく必要がある」と指摘している。

 2種類の抗体医薬を混ぜ合わせて使用する抗体カクテル療法が登場していることも、発症初期から医療機関が治療に介入する必要性を高めている。「投与は発症から最長7日間、できれば数日の間が効果的。この点からも、早期に患者を発見して診療を始められる環境の整備が必要」と舘田教授は言う。

舘田一博教授

 もう一つ、医療スタッフが必要な理由が、酸素投与が必要とされる「中等症Ⅱ」の患者への対応だ。肺炎が進行しており、いつ重症化するか分からない。酸素投与が必要ではない「中等症Ⅰ」から急速に「中等症Ⅱ」に悪化する症例もある。「簡易な血中酸素の測定や聴診だけでは判断できない患者もいて、最低でも単純X線、できればコンピューター断層撮影(CT)が欠かせない。その意味でも医療機関の受け入れ体制の拡充が必要だ。ウイルスの再流行が懸念される冬までの体制の立て直しが勝負だ」と指摘している。

 「新型コロナウイルスで、感染性・病原性に関して今後どのような変異が生じるのかは予想できない。長期的には新型コロナの後にまったく新しい病原体が出てくる可能性も考えておかなければならない」と舘田教授。強制力のある外出規制や店舗の営業規制を可能とするような法改正の議論が必要と強調する。(喜多壮太郎)

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